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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議9
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「次元魔導ってぇと、随分昔から帝国がご執心だったアレかい? アレを完成させたって?」
橙の王の問いに、赤の王は頷いた。
「ああ。その証拠に、先日ギルディスティアフォンガルド王国を襲った生物は、この次元には存在しない何かだった。私が調べた範囲での憶測だが、恐らくは、次元魔導で帝国領土に召喚した生物を、空間魔導でこの大陸に転送したのだろう」
「その憶測の根拠は?」
青の王の指摘に、赤の王がそちらを見る。
「いくら帝国が力をつけたとは言え、私が目にした魔導陣程度で次元を繋げることはまず無理だ。次元を越えて他世界に干渉するとなると、それこそ街ひとつ覆う規模の魔導陣が必要だろう。少なくとも今回異次元の魔物が現れた魔導陣は、もっと小規模なものだった。となれば、あの魔導陣は空間転送魔導の一種であると考えるのが妥当だ」
「なるほどねぇ。でも、それはそれで脅威だわ」
「シェンジェアン王の仰る通りだ」
薄紅の王の言葉に頷いた赤の王が言葉を続ける。
「少なくとも、此度の主犯であるデイガー・エインツ・リーヒェンの空間魔導は非常に優れている。帝国とリアンジュナイルとの距離を繋ぐとなると、魔法でもそう簡単な話ではないだろう。勿論魔導であっても、相当の準備期間と複雑な術式の構築が必要となるだろうが、五年前の帝国ではそれすらもできなかったはず。つまり、それだけデイガーの契約相手の力が強いということになる」
「そんでもって、そんだけすげぇ相手と契約が交わせるくらい、あちらさんの魔導の使役力が上がってる、ってことだろ? 昔は魔導つっても、しょーもない雑魚の魔物を使役できる程度だったもんな。……これまではリアンジュナイルにちょっかい出されたところで適当にあしらっときゃ良かったけど、こりゃ、おイタはダメよって本気で叱り飛ばすべきじゃないですかね」
黄の王の発言に、薄紅の王が柳眉を寄せる。
「野蛮ねぇ。妾、戦ごとはあまり好きではなくてよ」
「いやだなランファ殿、俺だって野蛮なのは好きじゃないですよ。ただほら、そういう手段も辞さないって姿勢を見せた方が良いんじゃないかなって話ですって。俺たち割と弱小国を憐れむ体で帝国と接してるとこあったじゃないですか。そういうのちょっと改めて、そろそろ向こうさんを認めてあげた方が良いんじゃないかなって」
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