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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議12
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確固たる自信、というよりは、いっそ確信めいた強さで銀の王は言い切った。そして、連合国の王がそれに異を唱えることはできない。発端である黄の王ですら、これ以上反論することはできなかった。何故ならば、銀の王が言ったことは全て事実なのだ。
リアンジュナイルは神が神界へと通ずる門を置く場として選んだ地である。そして、円卓の国々は全て、門である神の塔を守るための防衛装置なのだ。ならば、円卓の国が他大陸からの侵略に耐えられない訳がない。容易に瓦解する防衛装置など、置く意味がないではないか。神が必要であると判断し、設置したのならば、それは決して間違うことはない。これは最早、ひとつの真理であった。
銀の王とて、驕っている訳でもなければ、帝国を侮っている訳でもなかった。彼は誰よりも過去の歴史を知る王であるからこそ、ただ事実として、帝国が円卓の国に勝てる可能性が存在しないと知っているだけなのだ。
しかし、
「エルキディタータリエンデ王のご意見は、確かに正しい。だが、それは飽くまでもこの次元に限った話だ。帝国が他次元から何がしかを召喚することができるようになった以上、もう少し柔軟に考える必要がある」
この場において、赤の王だけが、真理が綻ぶ可能性を知っていた。
「他次元がどうしたというのだ。それすらも神の手にあるのだぞ。次元魔導すらをも考慮した上での采配だと私は思うがね」
小馬鹿にした物言いの銀の王を、赤の王が真っ直ぐに見つめ返す。
「それでは皆にご理解頂けるよう、単刀直入に言おう。現在私が最も危惧しているのは、帝国がエインストラを使ってドラゴンを召喚する可能性だ」
赤の王の言葉に、円卓の国王たちの顔つきが一瞬にして変わる。
「……エインストラに、ドラゴンだと?」
呟いたのは、誰だっただろうか。何にせよ、その呟きは円卓に集った王たちの総意であった。
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