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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議13
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「まあ、確かに、エインストラの力と魔導を組み合わせりゃあ、ドラゴンの召喚も可能かもしれんが……」
唸るような橙の王の声に、緑の王も頷く。
「喚び出すだけであれば、そうですわね。けれど、ドラゴンは人がどうこうできる生き物ではない、と仰ったのは、グランデル王、かつての貴方ではなくて? それを帝国が使役できるとは到底思えませんわ」
「そもそも、エインストラは希少種な上に、それと特定することがほぼ不可能な生き物です。神々の恩寵が厚い我々にも見つけられないものを帝国が見つけられるとは、とてもではないですが思えません」
青の王の言ったことは事実だったが、赤の王はゆっくりと首を横に振ってから、金の王へと視線を投げた。
いきなり視線を向けられた金の王は一瞬驚いてしまったが、赤の王の言わんとしていることを察して、こくりと頷きを返す。
これから話すことは金の国の民のことだ。それならば、他国にあたる赤の王の口からではなく金の国の王の口から話した方が良いと、そう判断してくれたのだろう。そしてそれは、金の王にとって大変有難い配慮だった。
表情を引き締めた金の王が、円卓を見渡した。
「帝国側がエインストラであるとしている人物が、我が国にいるのです」
金の王の言葉に、またもや円卓が僅かにざわつく。
「皆様仰りたいこともございましょう。しかし、帝国がエインストラだと思っているだけで、まだ何の確証もありませんし、私自身確認を取れておりません。ただ、実際にその人物と何度か交流しているグランデル王曰く、その右目がエインストラの特徴と一致するとのお話でした」
「ならばその右目をさっさと見て確かめれば良かろう」
険のある声で言った銀の王に、金の王も表情を険しくした。
「右目を見せることには抵抗がある様子だったので、本人の意向を無視してまで無理に見る必要はないと判断しました。それに、グランデル王が確認されているのです。十分でしょう」
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