アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
円卓会議20
-
金の王が頷きを返すのを見てから、銀の王は赤の王へと視線を移した。
「お主にはまだ問いたださねばならぬことがあるが、この時期だ。皆早く帰国するに越したことはない。……極限魔法を使ったにも関わらずギルディスティアフォンガルド国を損ねずに済んだ方法については、次の機会に詳しく尋ねることにしよう」
赤の王としては、極限魔法の件についてはうやむやになってはくれないかと僅かに期待していたのだが、やはりそうはいかないらしい。ちらりと他に目をやれば、どうやらどの王も、この件について興味があるようである。まあそれも当然のことだろう。極限魔法は特に調整が困難な大魔法だ。比較的器用な方である青の王や緑の王を以てしても、精々威力を九割程度に押しとどめるのが限度だろう。つまり、街ひとつ丸ごと吹き飛ぶか、一割だけ残すか程度の調整しかできないのである。だが今回赤の王が発動した極限魔法の最終的な威力は、本来のものの一割程度であると言って良いだろう。円卓の王の中でも最も調整下手な赤の王がそれをやってのけたとあれば、興味も湧こうというものだ。実際は王自身の調整によるものではなく無理矢理に相殺して貰った故の結果なのだが、どうやら炎の極限魔法を抑え込んだ水魔法についてはまだ各国の耳に届いていないらしい。
それを言うと更に会議が延びそうだと思った赤の王は、銀の王の提案に有難く乗ることにした。どのみち次の会議で追及されるだろうが、それはそのときである。
「ご配慮、感謝する。では、エルキディターリエンデ王のご判断に反対がないようであれば、今後の詳細については各々関連する国とご相談頂くことにして、ここで一度議会を締めることにしよう」
その言葉に誰も異を唱えないことを確認してから、赤の王はひとつ頷いた。
「この度はご多忙の時期にも関わらずお集まり頂いたこと、改めて感謝申し上げる。それでは、これを以て此度の円卓会議は終結とする」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
206 / 228