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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の招待6
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遥か目上の人間に頭を下げられてしまい、少年はどうすれば良いのか判らなくて泣きたいような気持ちになってしまった。そんな少年を見かねたのか、王がフォローしようと口を開く。
「レクシィ、そう畏まってはキョウヤが緊張してしまうだろう。どうせキョウヤは今後も王宮に来るようになる訳だし、そう他人行儀を貫かず、いつものように砕けた感じで話してはどうだ」
全然フォローになっていなかった。それを証拠に、レクシリアの優しげな笑みが若干崩れ、頬が不自然に引き攣っている。
というか、今後も王宮に来るようになるとはどういうことだろうか。少年にはそのような予定など全くないのだが。
「…………ロステアール国王陛下」
呟いたレクシリアが、すぅ、と大きく息を吸う。その先の行動を予期したのか、王は少年の腕を引いて抱き寄せた。と、ほぼ同時に、
「口調を正すのか正さねぇのかはっきりしろ馬鹿野郎! つーかこんなところで油売ってる暇があったらさっさと公務に戻れ今すぐ戻れそんでもって仕事が済むまで一歩も執務室から出るな良いな!」
「砕けた口調で話せとは言ったが怒鳴れとは言っていないぞ、レクシィ」
「殴るぞてめぇ」
「国王を殴るとは何事か」
「うるせぇ。良いからさっさと執務室に行け。こいつは俺が責任を持って部屋まで案内しといてやる」
レクシリアの言葉に渋々といった様子で頷いた王は、少しだけ心配そうな顔をして少年を見た。
「レクシィに何かされたら私に言うのだぞ。私はこれでも王だからな。レクシィを叱ることができる」
「い、いえ、別に、そんな機会はないと思うので……」
「そうか。お前は優しくて良い子だな」
そう言って大きな手が頭を撫でてきたが、少年には何が良い子なのかさっぱり判らなかった。確かにグランデルの宰相は怒ると怖いようだが、理不尽に怒りを撒き散らすような人には見えなかったからそう言っただけだ。
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