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第1章 かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
国王の招待12
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「……あの、でも、宰相様は勘違いをされているようです。……仮に僕が陛下に想って頂いていたとしても、恋人になった覚えはありません。なのに恋人扱いをされていると言うか……」
恐る恐るといった様子でそう口にすれば、グレイはなんだか少し遠い目をしてから、すぐ後ろにいるレクシリアを振り返った。
「だ、そうですが、リーアさん」
「そんなこと言われてもな。ロストの話じゃキョウヤもロストに惚れてるみてぇだし……。そりゃ、あれだけ偉大な国王の恋人になる訳だから、その覚悟をするのには時間がかかるだろうけど、遅かれ早かれ結局恋人にはなるんだ。だったら今からそういう扱いをしてても問題ねぇと思うが」
「はい有難うございますそのくらいで結構です。それでは頭のおかしい人はちょっと黙っててくださいね」
頭のおかしい人ってお前、という呟きがレクシリアの口から漏れたが、それを完全に無視したグレイが、少年に向き直る。
「って感じで、この国の人間はこぞって頭がおかしいから、こういう思考回路なんだ。判ったか?」
「は、はぁ……」
判ったかと言われても何も判る訳がない。ただ、取り敢えず色々と盛大に勘違いされているのだろうことだけは判ったような気がした。
(なんで、僕があの人を好きだっていう話になっているんだろう……)
あんなにも美しい人なんてきっとどこにもいないだろうから、そういうところは本当にとても素敵だとは思うけれど、それでは恋愛対象として好きかと言われれば、正直判らないとしか答えようがない。だが、それをこの場で言える程少年の肝は据わってなかった。
結局恋人候補とかいうよく判らない扱いを正すことができないまま、王宮での時間は過ぎていったのであった。
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