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〔-3-〕
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市川先生の手術のときに伊織先生といた『ちあき』という男。それを聞いて千明の記憶が少しずつ戻ってきたんだと嬉しく思う。
でも……俺の頭の中ではそんなことよりも、あいつのことばかり気にしていて……
純佑様と市川先生が2人で話があると、梓様と病室の外で待つ。
普段はなるべく気にしないようにしていた携帯。なのに、今は気になって仕方がない。
来るはずないってわかってる人からの連絡。あんなこと言ったんだ……嫌われてもおかしくない。
でも何でだろう……来るんじゃないかって期待してしまう。
「空邪さん……?」
「…あ、申し訳ございません……」
……しまった。傍に梓様がいるっていうのに……
「いいよ、携帯見てても。俺に気を遣わないで」
「はい……」
良かった……変に思われなくて。
「……とあのこと?」
ドキッ……
「……えっ?」
梓様の言葉にドキッとする。
「最近、空邪さんの周りで何かあるっていったら翔空のことしかないでしょ?」
……確かに……優真と別れた今、俺の悩みの種になるものは翔空のことくらいしかない。
仕事のことも多少は忙しかったりして辛いこともあるが、純佑様には相談してるしすぐに解決できるものが多いから……
梓様は知っているのだろうか、俺と翔空のこと。
でも翔空に会ったとき梓様や純佑様と話をされてたから、何となく知ってるだろうけど……
「……ここで言う話でもないんですが……聞いちゃって……」
「ん、何を?」
「彼が俺を抱いたことを後悔してる……みたいなことを……それでイヤなこと言ってしまって……それっきり会えなくて……あんなこと言うはずじゃなかったのに……」
「そっか……」
『お前のことなんか好きでも何でもない‼』
あれはさすがに言いすぎた。好きじゃなくてもいうべきではなかった。
でもすごくムカついたんだ。後悔してるっていうくせに俺に優しくしたりするし、俺のこと気にするし……俺の心を弄ばれたんだって思ったんだ。
胸が痛い。あいつを考えると胸が痛い。
でも……
「最近、あいつのことばかり考えてしまうんです。イヤでも頭の中に入ってくる……」
「うん……」
「あいつといると、どうしてもおかしくなる。何も隠せなくなる。生意気なくせに優しいんです……安心するんです……」
あいつの傍にいるとすごく安心するんだ。余計な力が抜けて、心地よくて……
運命の相手だからかな。あの香りが好きだ。
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