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「向こうが積極的すぎるのが苦手なのは、ここから読み取れるだろ」
「え、どうやって」
「デートに誘っても返信なし。忙しさもあるだろうけど、携帯なんて1日1回は開く。開かない日があっても2、3日たって充電がなくなったときに連絡くらい見ると思うぞ。社会人で人と会ったりする仕事なら、その連絡を確認するときに必ず目にするはずだ」
「まぁ……」
「それなのに連絡が来ない。仕事にも生活にもだらしない人なら仕方のないことだと思うが、その空邪さんって人はそうじゃないんだろ?」
「まぁ……」
空邪さんがだらしないようには見えない。格好も誰かと会ったり、清水さんの前ではちゃんとしてる。
まぁ、俺の前ではそんな仮面を被ったようなことはしないけど……
「それにさ、翔空は何をそんなに慌ててるんだよ」
「慌ててる?」
「あぁ、慌ててる。『早く俺のものにしたい』って『誰にも取られたくない』って言って、何も考えずにただただ自分の感情を相手に押し付けてる」
「そんなつもりは……」
ない、とは言えない。だって空邪さん、何かすげぇ可愛いんだもん。
ツンツンしてるかと思えば、たまに弱いとこ見せてきて……放っておけないっていうか……誰かがそれに気づいて奪われるんじゃないかって……心配。
「恋愛ってそういうものじゃないだろ?長い時間をかけて少しずつ距離を縮めた方が上手く長続きする場合もある。時間が短すぎて相手のこと何も知らなくて『あぁ、違った』ってこともあってすぐ別れる場合もある。まぁ、例外はたくさんあるけどな」
「なるほど……」
真面目な恋愛するのが久しぶりすぎて、自分で舞い上がっていた。だから空邪さんのことも何も考えずに毎日送ってしまった。
『嫌いじゃない』ってことは『好き』ってことだと、俺は許されてるから何してもいいって……そういう意味じゃないのに……
「勝先生、勉強になります!」
「まぁ、頑張れ。気持ち悪いけど、お前が元気そうなのは嬉しいから。まぁ、気持ち悪いけど」
「何で2回言ったんだよ、気持ち悪いって」
「だって気持ち悪かったもん。完全に顔の筋肉緩み切った顔してて……」
「いいじゃねぇか、たまには!無理やり笑顔作ったりするよりは全然いいと思うぞ!」
「…何かちょっとずれてる。まぁ、いいや。今日の昼、お前の奢りな」
「はぁ!?ふざけんなよ!先生って言われて調子乗ってんじゃねぇ!」
「バーカ」
「誰がバカだ、コノヤロー!」
あれから毎日連絡するのをやめた。俺が空邪さんの立場だったら、同じことしそうだなって思って。
でもだからって空邪さんを諦めたわけではない。
ピロンッ……
毎日連絡するのをやめてから1週間たったある日、空邪さんから初めて連絡が来た。
『連絡返せなくてごめん。仕事が忙しくてそれどころじゃなかった。映画とか看病とかは無理、拒否する』
「まぁ、そうですよねー……」
『でも、ご飯くらいだったら……行ってやらなくもないような気がする……』
行ってくれるかもわからない答え。
でも俺はこの一言で、今までのイヤなこと全部飛んでいった。
「はぁ……好き……大好き……」
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