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それからの俺は疾風と会うことをやめた。俺の気持ちを知ってて彼女を抱いた。それが許せなかった。
疾風のいうことを聞かずに俺は先パイと付き合い続けた。何も知らないような顔して笑う先パイ。前まではすごく可愛いと思っていたのに、今は全然そうは思わない。先パイといることが辛い。そう思った俺は先パイと距離を置くことにした。
そしてわかった事実。先パイは昔疾風と付き合っていた。でも疾風は先パイを振った。疾風のことを忘れられなかった先パイは、疾風と仲がいい俺を利用してもう一度疾風とやり直そうとしたらしい。
それを先パイ本人から聞いた。可愛い顔とは真逆、性格はブスだったようだ。
それからの俺は欲に溺れた。性欲処理のため、初恋を記憶から消し去ろうと何度も何度も抱きまくった。でも消えることはなかった。
梓のことでもう一度恋をする機会があって、この初恋を忘れられるとは思ってたんだけど、いつまで経っても消えてくれない。
どんだけ酒を飲んで潰れようとも消えてくれない。厄介なことだよ。
「忘れなくていい」
聞こえてきた好きな人の声。あったかい声。
目が上手く開かないから、どんな顔してるのかはわからない。
「どんなに辛い思い出でも、いつかそれが笑い話に変わるときがくる」
「…こんな辛い話が……ですか……ヒック……」
「あぁ。それに、お前は頑張ったと思うよ。大好きだった先パイのために、一生懸命性について学んだ。相手のことを大切にしたいからこそ、失敗したくなかったんだよな。傷つけたくなかったんだよな」
空邪さんの言葉が胸に刺さる。
「……ふっ……」
「よしよし……」
優しい手が俺の頭を撫でる。
ずっと我慢していた。こんな惨めな自分を見せたくなくて、頑張って明るくして……でも心のどこかでは苦しくて。
引きずってる自分が嫌で嫌で、誰かにすがりたくても話したくても受け入れてくれないんじゃないかって怖かった。
でも……
「失恋って辛いよなぁ……」
「うぅぅ……」
「あー、ヤバい……お前のせいで、泣きそうだ」
顔をあげて空邪さんを見ると目をこすっていた。
「グスン……くうが、さんだって……スン……泣いてるじゃ……ないですかっ……」
「な、泣いてない……目が……かゆいだけっ……グスン」
鼻をすする音。強がってもわかるんだからな……
空邪さんを抱きしめる。
「くうがさん……すき……キスしたい……」
「泣きながら……何言ってんだよっ……」
「だめっ?」
「…」
何も答えない空邪さん。聞こえる鼓動。
俺がキスしたいって言った瞬間、速くなった気がした。
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