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会の長
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授業は全て終わり、俺は教室で運動場を眺めながら佐瀬を待っていた。
佐瀬の姿はよく見えないけど、きっと楽しく走ったり跳んだりしてるんだろうな。
夢中になれることがあるのは羨ましいし、それで結果を出してるんだから凄いと思う。
たとえ運動以外ポンコツだとしても、やっぱりαのDNAはすさまじいものなんだろう。
それに比べて凡庸な俺。ただのゲイ。ガンガン行かなければ性奴隷になんてしてもらえないのだ。
ふわふわと色んなことを考えているうちに時間が経ち、気がつくと運動部は片付けに入っていた。
もうすぐ佐瀬が来る!俺の処女(山内はノーカン)を捧げる時が来た!
ポッケの中の椿香水を握りしめた時、教室のドアがガラッと開いた。
「わ!思ったより早かっ………え?」
「なっ………」
ドアを開けたのは、佐瀬ではなく由比だった。
由比はなぜか必要以上に驚いた様子で、すぐにドアを閉めようとする。
「え、待ってよ由比!なんか用事があって来たんじゃないの?」
ドアに体を挟み、由比の腕を掴んだ。
「離せ」
「だって怪しいもん。もしかして…泥棒?」
「そんなわけないだろう。俺は生徒会長だ。生徒会長は生徒の会の会長で、学校を守る義務があるから、校内の見回りをしていたんだ。お前こそ何してるんだこんな時間に。早く帰れ」
「早口でめっちゃしゃべるじゃん…」
「普通だ」
由比は落ち着きを取り戻してきたのか、俺の手を払い除け、偉そうに腕を組んだ。
「泥棒というなら、お前の方がよっぽど怪しい」
「俺は佐瀬と待ち合わせしてるんだ。下校時刻には帰るからご心配なく〜」
「あ、結局お前…佐瀬と話せたんだな」
「え?」
「いや、前、教室で追い返したから…」
語尾がもごもごと消えていく。
「えー!気にしてくれてたんだ!ゆいゆい優しいー!」
「うるさい。とにかく、早く帰れよ」
「先生かよ…」
由比はずんずん歩いて行った。
絶対、何か隠してるよな。
由比とほぼ入れ替わりで、佐瀬が入ってきた。
「ごめんね川名くん。遅くなっちゃった」
佐瀬はパンっと手を合わせた。
汗のにおいがふわっと漂っている。本来嫌なにおいのはずなのに、佐瀬の場合は不思議と爽やかに感じる。
「いいよ。上から部活見てるの、楽しかったし」
「本当?俺かっこよかった?」
「佐瀬がどれかはわかんなかった」
「なーんだ。もっと近くに見に来てくれればいいのに」
「俺が行くと蜂谷が怒るし…」
「大丈夫だよ。蜂谷案外優しいよ?」
それは佐瀬に対してだけなんだよなぁ…と思ったけど、むやみに悪口を言うのは控えることにする。
すぐ帰るのかと思ったら、佐瀬は近くの椅子に腰を下ろした。
「ところでさ、川名くんが言ってた性奴隷ってやつ、俺調べてみたけどやっぱりよくわかんなくてさぁ」
「わかんない?」
「ネットで検索したら、けっこうひどい話がいっぱい出てきてさ。国際問題にもなってるみたいだよ?」
「えーっと、そういうのじゃなくて…」
「どういうやつ?」
「なんというか…俺は佐瀬とセックスがしたくて、もし佐瀬の性欲が溜まったときは、俺の体を好きなように使ってほしいってことで…佐瀬の言うこと、なんでも聞くから」
「へえ…」
まずいぞ。佐瀬の心にはあまり響いてないようだ。やはり俺の魅力が足りないってことか?!
仕方ない。椿香水の出番だ。
「あのさ、川名くん。俺は、………?」
完全に佐瀬にお断りされてしまう前に、椿香水をさっと体に吹きつけた。
「またこの…変なにおい…」
佐瀬の顔が赤く染まっていく。たぶん効いてるんだろう。
そして俺も、体中にぞわぞわとした感覚が広がる。椿原のやつ、本当に催淫効果をつけてくれたんだな。偉いぞ。
「佐瀬」
「なに…?」
ぐっと体を近づけた。佐瀬の呼吸がどんどん荒くなる。
「俺を性奴隷にしてください」
渾身の上目遣いで佐瀬を見ると、佐瀬はごくりと唾を飲み込んだ。
「川名くん…もう…我慢できない…」
佐瀬は俺の体を押し返すように立ち上がった。
ついに!ついにこの時が来た。毎晩頑張って尻穴開発した成果、見せられるかな!
「俺、今から走ってくる!」
「……え?」
佐瀬の目が爛々と輝いている。
「待ってよ。どういうことだよ」
「わかんないけど、なんか川名くんといると、たまにすんごく力が湧いてくるみたいで。もう俺、走りたくてたまらないんだよ!」
「えええ…?」
「ごめん。一緒に帰るって言ったけど、やっぱ無理。ごめんね!」
「あ、ちょっと!」
佐瀬は自分の荷物も全て置いて、教室を飛び出し爆走してしまった。
「ま、またこれ…?なんで…なんでだよ…」
椿香水を恨めしく見つめる。これ、本当に効果あるの?佐瀬にだけ効かないんじゃなくて、山内にだけ効いたってことなんじゃ…?
もうやけになって、椿香水を何度もプッシュし香りを振りまいた。花のような甘い香りが微かに残っていた佐瀬の汗のにおいを消していく。
「ははっ…ほんと、きついなこれ…」
濃度を上げたのはたしかだ。せっかく椿原が色々してくれたのに、俺は全然活かせない。
床に座りこみ、天井を見上げた。催淫効果のせいでむくむくと勃ち上がってくる俺のペニスが憎い。
そんな切ない気分をかき消すように、教室のドアが勢いよく開けられた。
「おい、椿原?!」
「…え?」
息を切らせて駆けつけたのは、さっきいなくなったはずの由比だった。
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