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隠し事が苦手
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翌朝、俺はなんとなくドキドキしながら、いつも椿原と一緒になる駅のホームで立っていた。
「おはよう川名」
「あ、おはよう…」
椿原はにやっと笑いながら俺を小突いた。
「どうだった?椿香水。さすがの佐瀬もメロメロだったろ」
「うーん…残念ながらダメだった。またしても、ばりばり運動したいモードになって、いなくなっちゃった」
「えー?!あれでも効かないの?これ以上濃度上げらんないよ」
「やっぱり…佐瀬が問題なんじゃないかなぁ。性欲が全て運動に置き換えられてるような気が…」
「特殊体質なのかな?αの中でも異質だもんね、佐瀬は」
「そうそう」
「何か対処法、ある気がするんだけどなぁ」
椿原は首を傾げている。
「それで?今回はかわりに誰とセックスしたの?」
「えっ?!な、なんでそれを…?」
「…冗談で言ったんだけど」
「なっ………」
しまった。ちょろいのは俺じゃん。
「……こっちも冗談だよ?」
とりあえず笑ってみせたが、無視された。
「せっかく佐瀬と繋がるために作ってあげたのに…やっぱり誰でもいいんだね?」
「違うって!その…椿香水つけたあとに偶然会っちゃって、あっちはフェロモンにやられてるし、こっちは催淫効果で気持ちよくなっちゃったし、仕方なかったんだよ…」
完全に白状してしまった。でも、よりによって椿原に、誰とでもやるやつって思われるのは嫌だし…。
椿原は顔色を変えずに追及してくる。
「誰としたの?」
「え、うーん…」
「また山内?」
「あー…うーん…」
由比とやったとはさすがに言えない。由比は椿原が好きなんだもんな。
「山内なら、俺が抗議してこようか?これ以上川名に近づくなって」
「いや!えーっと…山内では、ない」
「じゃあ誰?」
「それは言えない」
「相手をかばうんだ?」
「まあ…そう…」
椿原の視線が痛い。どうしてこんなに知りたがってるんだろう。何か別の話題を出してうやむやにしたい…。
「あっ、あのさ、ツバキって由比と知り合いだったりするの?」
「…由比?」
とっさに出てきたのは、そらす話題としてはバッドチョイスなものだった。
椿原は嫌そうな顔で答えた。
「別に…。同じ中学出身だったくらい」
「あー、そういやそうだね」
俺と椿原と由比は同じ中学校に通っていた。その頃から俺は椿原と仲が良くて、由比を挑発して遊ぶのにハマっていたと思う。でも椿原と由比が会話をしてるのは、一度も見たことがない。
「なんで急に由比が出てくるの?」
「由比がツバキのフェロモンを知ってたみたいだからさー、なんでだろうと思って」
「ふーん…フェロモンを…」
「うん……あれ?」
「由比とやったんだ」
「う、うわわわ」
まずいまずい。いくらなんでも口が軽すぎるぞ、俺!
「いや、違う!違うんだよ!!」
「川名、椿香水出して」
「え、うん…」
カバンから瓶を出すと、椿原はひょいっと取り上げた。
「これ、しばらく没収ね」
「えっ!で、でもそれがないと…」
「いつも直球なのは川名のいいところだと思うけどさ、ちょっとは作戦立てて使わないと、ただ川名の経験人数が増えていくだけだよ。佐瀬を確実におとせる手段が思いつくまで、椿香水は禁止」
「……あい」
ごもっともすぎる。椿原が正しい。
そこでちょうど電車が来て、俺と椿原は無言で満員電車の中へ入っていった。
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