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再登場
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佐瀬の家は、俺の隣の市のデカイ城の近くにあるらしい。そして城から少し歩いたところには大きな公園があって、ランニング用のコースも整備されているそうだ。
集合時間の17時の5分前に公園に行ってみると、佐瀬もちょうど来たところだった。
「川名くーん!わあ、休みの日の川名くんだ!」
佐瀬は大きく手を振って近づいてくる。
「おう。休みの日の川名だよ」
胸を張ってみせたが、着ている服は学校の体操服だ。運動ができる服なんてこれしか持ってない。
佐瀬はなんだかしゅっとしたスポーツウェアを着ていて羨ましい。
「さすがに今日は空いてるね。ここ、普段はもっと人がいっぱいいるんだよ」
「そうなんだ?なんで空いてるの?」
「今日は河原でお祭りしてるから、みんなそっちに行ってるんじゃないかな」
「え…」
俺もそっちに行きたい!走るのなんてやめて屋台で豪遊したい!
しかし、いくら俺でもさすがにそんなことを言うわけにもいかず、黙っていると、佐瀬は何かを察したのかにこっと笑った。
「ランニング終わったら行ってみる?」
「う…うん!行く!」
よっし予定変更だ。ランニングして、お祭りに行って、その後セックスしよう!
…そして、ランニングを始めて15分後、俺は完全に佐瀬を見失っていた。
「はあっ…はあっ…」
もう無理だ。走れない。佐瀬のやつ、走ってるうちに俺のことなんて完全に忘れて1人でぴゅーっと行ってしまった。
俺の存在はランニングに負けた…いや、勝つ必要もないんだけど。
立ち止まって下を向いて息を吐いていると、前から誰かが近づいてくる気配がした。
「佐瀬?よかった気づいてくれ…て…?」
顔を上げると、そこにいたのは蜂谷だった。
「無様だね。ちょっと走っただけでそんなにバテるなんて」
「蜂谷…何しに来たんだ?」
「邪魔をしに」
「ぐあっ!」
思いっきり腹を蹴られた。仰向けに倒れたおれの上に蜂谷が乗っかり、ポケットを探られる。
「は…吐く…。おりろ蜂谷…」
「うわー汚いな。…あった。これかな?」
「えっ?!」
蜂谷は俺のポケットから、椿香水の小瓶を取り出していた。
「おい…返せよ……」
「お前、馬鹿だよね。こんな小細工までして翔也を手に入れようとして」
蜂谷はうっすらと笑っている。佐瀬の前ではけっして見せない、悪意に満ちた表情で。
椿香水のこと、どこまでバレてるんだろう?そういえば前に椿原と話してた時、蜂谷を見たって言ってたっけ。
「馬鹿で何が悪いんだよ。俺はただ、佐瀬の性奴隷になるために最善を尽くしているだけだ」
「翔也は性奴隷なんて必要としてないよ。だからこんなの、いらないよね」
「…え、お前!」
蜂谷は椿香水の瓶の蓋をキュポッと開けた。
捨てられてしまう!と思ったらその逆で、蜂谷は俺に椿香水をふんだんにふりかけた。
甘い香りが俺の体を支配していく。思考も感覚も溶けているみたいだ。体の奥のうずきだけが鋭敏に伝わってくる。
「はちや…」
耐えきれずに蜂谷の服の袖を掴むと、汚いものに触れられたみたいにサッと振り払われた。
「見境なしかよ。元から相手する気はなかったけどさ、その媚薬?僕には全然効いてないね」
「はあっ…はちやぁ…」
「気持ち悪いから黙ってよ」
蜂谷は冷たくそう言って、俺を米俵のように担いだ。
「ちょっ、おろして!怖い!」
「何?落とされたいの?」
小さい体のどこにそんなパワーがあるんだろう。自分より重い人間を担ぐなんて。
蜂谷はそのままずんずんと公園の端にある林の方へ向かっていく。
「お前、怪しい液体を使って翔也を犯そうとしてるんだろ」
「………」
「いい加減、翔也のことは諦めてよ。迷惑だから」
「うるさいっ…」
「お前が付き纏うようになってから、翔也の記録がほんの少しだけ落ちてる」
「……え?」
初耳だ。俺が佐瀬に何かの影響を及ぼしてるなんて、思ってもみなかった。
「翔也の未来にとってお前は邪魔なんだ」
蜂谷は周りからよく見えない木陰に、俺をどさっと下ろした。
「邪魔なやつを排除するのが僕の役目だ」
蜂谷は憎しみのこもった眼差しで俺を見下ろしている。
「ご苦労なことで」
俺はぼんやりと呟いた。正直、今は余裕がない。嫌いなはずの蜂谷に、犯してもらいたくてたまらない。
…でも、蜂谷には椿香水が効かない。ΩのフェロモンはΩには効かないから。
何をするかと思ったら、蜂谷はスマホを取り出し電話をかけだした。
「もしもしゆうくん?お待たせ〜。準備できたから、来ていいよ!」
おお…蜂谷ぶりっ子verだ。佐瀬以外にもやるんだな。
…って、一体誰を呼ぼうと…
「おせぇよ蜂谷」
「ごめんって。ゆうくん短気すぎ」
「え…?なっ、なんで?!」
林の中をどすどすと大きな足音を立てて現れたのは、山内だった。
俺のファーストキスと処女を奪っ…いや、奪ってない。俺は何も奪われてない。とにかく、俺のトラウマになりかけているあの男。
蜂谷は山内に駆け寄り、ぴたっとくっついた。
「来てくれてうれしいなっ」
「めんどくせーけど、これやったらヤらせてくれんだよな?」
「もちろんだよ。明日はゆうくんのために空けてあるから」
「んで?俺はこいつを……ん?」
山内はようやく俺を認識したようで、にやりと笑って俺の上に乗っかった。
「このフェロモン、嗅いだ覚えがあるな。上質でエロい。しかも前より濃くなってる」
こいつ俺のこと、フェロモンでしか覚えてないのか?
「ゆうくん何言ってんの?こいつはβだよ。フェロモンなんて出せない」
「あ?どうでもいいよ。βだろうがΩだろうがフェロモン出してりゃ全員俺のオンナだろ」
山内はギラギラした目で俺の体を眺めている。
「あー…思い出した。お前、旧校舎の美術室でヤったヤツだな。初めてとか言って、体ガチガチで泣いてたっけ」
「ヤってない。挿入されてない」
「は?普通に最後までヤっただろ。記憶改竄してんの?」
「ヤってないもん…」
精一杯山内を睨みつけたが、鼻で笑われてしまった。
「その表情、そそるな」
「…お前、ゆうくんとヤったことあったんだ」
蜂谷は軽蔑したような表情で俺を見ている。
「翔也にちょっかい出しながら、他の男ともヤってるなんて、ビッチじゃん」
「ビッチなんかじゃ」
「ビッチはお前だろ、蜂谷ぁ」
俺の抗議の声は、山内の声に掻き消された。
「俺早くこいつを食いたいからさ、ちょっと黙っててくんない?」
「…ふん」
蜂谷はそっぽを向き、山内は俺の前髪をつかんだ。
「んじゃ、お前の2回目の初めていただくわ」
「うっ…」
助けてくれ、誰か…佐瀬……。
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