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押されると照れる
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絶交してとは言われたけど、正直教室でちょっと話すくらいなら佐瀬にもバレないだろう。
明日椿原に会ったら、事情を説明して謝ろう。俺は佐瀬も椿原も、両方大事にしたいんだ!
…と意気込んできたのに、翌日椿原は学校を休んでいた。体調不良らしい。
「………俺のせい?」
「どうしたの?ぼーっとして」
昼休み。今日も佐瀬とご飯を食べている。
ランチメニューは2人で購買で買った焼きそばだ。
「ああ、ごめん。実はツ……」
「?」
「つ、月日が経つのは早いなぁと実感しておりました」
「何それー?」
「あはは…なんだろね」
そうだ。椿原にラインしよう。体調がどんな感じなのか聞いて……
「あ、だめだ」
「どうしたの?」
「え、声に出てた?」
「はっきり言ってたよ。何がだめなの?」
「えっと…英語の宿題やるの忘れてたの思い出した」
今、俺のスマホは佐瀬に監視されてるんだった。現在位置、メール、着信履歴も全部。椿原と連絡はとれない。
もうただやきもきするだけだ。
「俺、宿題したことないよ」
「…え?」
佐瀬の口から耳を疑う発言が飛び出した。
「やっとこっち見た」
「したことないって…先生に怒られないの?」
「小学校の頃は怒る先生もいたけど、もう全然怒られないよ」
「それ、諦められてるんじゃ…あ、それとも、αだから?佐瀬は運動ができるから、勉強はまあ大目に見ようみたいな?」
「うん?わかんない。でも宿題なんてやる意味ないよ。全然解けないもん」
「佐瀬…今度から一緒にやろう。俺が教えてやるから」
「え!やったー!勉強できなくてよかった〜」
「なんだそりゃ」
「じゃあ、今日授業終わったら宿題教えて」
「いいけど、どこでやる?」
「景太の家」
「えっ今日?」
「今から」
「今から?!」
大きな声でおうむ返しをしてしまい、佐瀬はくすくす笑っている。
「冗談だよ」
「もー…俺の家でもいいけど、それだと翔也の家から遠くない?明日も学校あるし、あんまり時間ないよ。駅前の図書館とかにしようよ」
「えー!図書館じゃ色々できないじゃん!」
「何する気だよ」
「なんでしょう?」
佐瀬は俺の膝に手を置き、顔を近づけてきた。
「す、すけべめ…」
佐瀬の熱が膝からじんわりと伝わってきて、どうしても意識してしまう。そして俺のそんな反応を楽しんでるみたいに、佐瀬は至近距離で見つめたまま、太ももを撫でる。
「景太のせいで、俺、すけべになっちゃったから」
「あう…」
なんと答えたらいいかわからず固まっていると、佐瀬は緩く微笑んだ。
「可愛いね」
「すぐそれ言う…」
「景太、エロいことしたいしたいって言う割に、本当にしようとすると照れちゃうんだもん。可愛い」
「だって、場所とか言い方とかあるじゃん。翔也は油断してる時に言ってくるし、普段とギャップがあるからドキドキする」
「ふふ。やっぱり可愛い」
「と、とにかく今は、あんまり触らない!」
太ももにあった手を持ち上げ、佐瀬の方へ戻した。すると佐瀬は逆に俺の腕を引っ張って体を抱きとめた。
「わっ!翔也!」
「くっつきたい。だめ?」
「…いいよ」
佐瀬に体重を預けると、ぽかぽかした陽気も相まって少し眠たくなってきた。
「翔也…俺が翔也のこと大好きなの、ちゃんと伝わってるんだよね?」
「うん」
「それは、俺が他の誰と仲良くなっても変わらないんだよ?」
「………」
佐瀬は何も答えず、俺の頭を撫でた。
「…景太は、まだ俺に陸上部に戻ってほしいの?高跳びしててほしい?」
「え…?翔也にしたいって気持ちが残ってるなら、戻ってほしいな。陸上部にいた時の翔也はすごく楽しそうだったし、やってるとこ見るの、好きだったから」
「……そっか」
「まあ、俺は大会見てても誰が勝ったのか判別できないんだけどね。あははー」
もしかして、陸上部に戻りたくなってきたんだろうか?と思ったけど、佐瀬はそれきり何も言わず、昼休みは終わってしまった。
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