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はじまり
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ここ終葎学園は全寮制。
横並びに並ぶ高層タワーマンション2棟が生徒達の寮。
入学時に終樹側か葎ノ音側かを選ばせられ、終樹側なら黒い壁のタワマン、葎ノ音側なら白い壁のタワマン。
どちらのタワマンも内部の造りは同じで一階はロビーと食堂、二階からが一部屋2人ずつの寮。ただ、最上階とその一つ下の階は特別生徒と言われる生徒会、風紀委員会、成績上位者が1人一部屋ずつ割り当てられている。
豹の部屋は最上階でエレベーターを降りて左廊下の突き当たりの部屋。
大理石で造られた床はまさにこの学園の経済力を表し、所々金の装飾が施された壁はこの学園の華やかさを表していた。
この学園には所属側に差別があっても上級生、下級生という差別はない。生徒に選ばれた者がこの学園では優遇を受けられる。豹だってその顔のおかげか一年生の時から一人部屋だし、今日生徒会長に選ばれていた玲央だって三年生を抑えてこの学園の生徒のトップに立った。この学園ではまさに顔と家柄がすべて。
他のメンバーも皆、整った容姿をしているし家柄もいい。彼らは一つ下の階が寮だ。
ただ、双子は同じ部屋がいいということで彼らだけはもう一つ下の階。
指紋認証のドアを開け部屋に入る。
無機質で余計な物などない部屋。
豹は制服のネクタイを緩め、ずっと持っていた本をテーブルへ置き、そのまま合成皮革の黒色の大きなソファーに倒れこんだ。
今日は何かと色々あったからかいつもより重たい瞼。
明日は一日中寝よう、と誓い瞼を閉じる。
瞼越しに眩しい光が差し込み、数回瞬きをした後重く固い瞼をあげた。
少し眩みぼやけた視界を前に起き上がる。
ベッドで寝ていなかったせいかポキポキとなる体。
カーテンを閉め忘れた窓からは、すっかり真上に昇った太陽がこちらを見下ろしている。
およそ12時間は寝ていたのだろうか?寝すぎな気もするが今日は特に予定もないしいいだろう。
結局一日中寝る、という誓いは敗れ、小さな欠伸をして立った豹はそのまま昨日入り忘れていたバスルームへ足を向けた。ベタついてはいないものの、お風呂に入らないとやはり何か気分の悪いものがある。
豹はサッとシャワーだけ浴び入白いTシャツにスウェットを履いてバスルームから出てくる。
湿った髪の毛からは時折ぽたぽたと水滴が滑り落ちる。
備え付けドライヤーはあるのだが、騒音が苦手な豹はドライヤーをあまり使いたがらない。その事から本人は自然乾燥派と公言している......。
棚からバスタオルを出し肩にかけ、そのままキッチンに移動した豹は伝統的な紅茶のいれ方、ゴールデンルールに乗っ取り慎重にポットに紅茶を作っていく。数分蒸らした茶葉を茶漉しで茶殻をこしながらティーカップに淹れれば紅茶の完成だ。そのままリビングルームの椅子に座りながら紅茶を一口含んだ。
こだわって海外からの輸入した茶葉は上品な味をしている。
ゆっくりと飲み進めた紅茶、しかしあっという間になくなってしまった。
もうすぐでなくなりそうな茶葉を思いだし、また仕入れないと、と空になったティーカップを見ながら考える。
少しゆったりとくつろいだところで今日はこれから何をしようか、と考える。
この学園では月間テスト、定期テスト、期末テストで合格点を通過さえすれば授業に出る必要はない。その為、豹は入学当初に少し出席したくらいでそれ以来授業に出席していないどころか、教室にも登校していない。
それが許されているから何かと居心地のいい学校だ。
けれど学年末の合計成績で規定を下回った生徒は容赦なく切り捨てられる。だから学年が上がるにつれて生徒数は減少している。多少お金を持っていれば"誰でも"入れるこの学園だが、卒業するのが難しいと言われるだけはある。厳しくないのか厳しいか分からない学校だ......。来るもの拒まず、去るもの追わず、これがこの学園の校風。
「(......あ、そういえば今年のクラス分け見てなかったな)」
するとピンポーンと部屋のインターホンが鳴った。この部屋を訪れる人は限られている。こんな昼間から誰だろう......と考えながらインターホンの画面を見ると双子の怜斗、帝斗が映っていた。それを確認すると玄関の方へと向かう。鍵を開けるとこちらがドアを開ける前に勝手に開け、入って来た。毎度のことなので今さら驚かないが他の人の部屋でもこんなことをしてるのかな......?と少しの心配が生まれる。
「おはよー豹くんっ」
「というか、こんにちはだよね?こんにちは豹くん」
「あ、そっか!こんにちはー豹くん!!」
「ふふっ、こんにちは、怜斗、帝斗。こんな時間にどうしたの?」
2人の掛け合いに微笑ましく笑う。
「朝来なかったから何かあったのかと思って、」
「そうそう。豹くん体あんまり強くないから、もしかしたら体調でも崩したのかと思って」
「心配で来てみた」
心配そうに豹の体調を心配する2人。
豹以外には生意気な態度をとり人の挙げ足をとるのが好きな2人だが根はいい子達。
「そうだったんですね。体調は大丈夫ですよ、心配してくれてありがとうございます。」
「そっかぁーよかったーーー」
「うん、よかった」
少し脱力したように肩の力を抜いた双子。
2人をソファーのあるリビングに入れる。
「何か飲み物いりますか?」
「あ、僕ジュース飲みたい」
「ちょっと怜斗、失礼だよ......」
「大丈夫だよ、帝斗。帝斗は何が飲みたいですか?」
「え、じゃ、じゃあ怜斗と同じの」
「分かった。ちょっと待ってね」
さっき作った紅茶のポットを流し台へ置き、冷蔵庫から果汁100%と書かれたりんごジュースを取り出し、タンブラーの透明なガラスコップに注いだ。
「お待たせしました。りんごジュースですがよかったですか?」
「大丈夫、ありがとう」
「大丈夫大丈夫!ありがとう豹くん」
少しの間雑談し、りんごジュースを飲み終わった2人は部屋を出ていく。なんでもこの後の午後からの授業に出ないと、次のテストが危ないらしい。それは大変だと豹は2人を見送った。頭は悪くない2人だが、彼らはテスト前に追い込みをかける詰め込み型。ちょうど今月ある月間テストに向けてそろそろ詰め込んでおかないと危ないのだろう。
......また今度甘いものでも差し入れしてあげよう。
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読んでいただきありがとうございました(*^-^)
少しでも読者様に気に入って頂けたのであれば凄く嬉しいです!
次のお話もよろしくお願いします。
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