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はじまり
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「もうつっこまへんからな?で、奴らは最初第七区を落として、次は第九区、それに共闘相手が仕切っとった第十三区を手に入れて、今、計三区仕切っとる。そんで今日はこの四区に手ぇ出してきよった。ほんま調子乗りやがって、返り討ちにしたが次はどの区が狙われるか分からへん」
銀の話しで出てきた「区」とは国が定めた正規のもので、第一区から第二五区まで細かく区域されており、区の桁が小さければ小さいほど強い者が集まる激戦区に指定されている。第七区を落とせたのならcrudeはなかなかの強敵だ。さすがに銀が取り仕切る第四区には及ばなかったようだが、少し調子に乗りすぎたのだろう。
すれば次に狙われるのは第五区、若しくは第六区。
もしかすれば第四区を仕切るLieという強い敵と戦ったことで実力をつけたと勘違いし、第三区を狙う可能性も棄てきれないけれど。
「そう。crudeでしたよね?なかなかいいグループなんじゃないですか?」
「"普通"のグループならええけど、ちょっときな臭い噂があるからな」
「どんな?」
「上と繋がっとるっちゅう噂や」
「......上っていうのは上流階級の人達と、という事ですよね?それが本当であるのなら少し厄介ですね」
組んでいた足を反対に組み直し、親指と人差し指で顎を包んだ。
こん国には大きく分けて上流、中流、下流と三つの階級がある。
もちろん上流階級に居れば居るほど世間的な地位は高いし、物事も上流階級の奴の方が優先される。
それに多数存在するグループは何もただ殴りあいの喧嘩をしている訳ではない。
国が定めた二五区の何れかを取り仕切れば、国側から地位と名誉、それに生々しいがお金が貰える。
指定された二五区は学生に区を任せ、仕切らせる為に試験的に実施させられている区のことで、謂わば学生に任せてみればもっとより良くなるのでは?という国の考えのもと定められた区だ。国が認定している為、区域内であれば喧嘩をしようが、相手を病院送りにしようが、最悪の場合相手の息を止めようが犯罪にはならない。それは国が決めたことだ。けれど犯罪にはならないが相手の息の根を止めてしまった者は今後二度と区域内に立ち入ることはできない。危険な粉や葉っぱはグレーゾーン。
つまりグループに入っている者はだいたい成り上がる為にグループを組んでいるのだ。
皆目標は上流階級に入ること。それと区を仕切り国側から報償をもらうこと。
それが上流階級の者と繋がっているとなるとそれは不正のようなもの。
区域内では己とグループの仲間の実力が全て。抜け駆け行為は言語道断。
国側は不正は許していない。けれど上流階級の者が関わっているとなると正直確証はなかなか得られないだろうし、分かりやすい証拠も残さない。何より繋がっているのであればその上流階級の者から今、区を仕切っているリーダーに圧力がかかってくるかもしれない。それにcrudeを倒せばその上流階級の者が逆上を起こすかもしれない。
だから上からの区への介入は厄介なのだ。
「あぁ、厄介だ」
「それで僕に相談を?いや、相談だけじゃないでしょう?」
「なんかお前何でも見透かしてんな、心の中でも読めてんのちゃう?」
「そうですよ」
「読めてんのかっ!?」
「嘘ですよ」
「んだよっ!!嘘なんかい!!」
あなたの十八番でしょう?そう微笑む豹に銀は手で顔を覆った。騙されたと項垂れる銀に豹は声をかけた。
「それで、僕を呼び出した"本当"の理由を」
「あ、あぁ、そうやったな。とりあえずcrudeの行方を知りたい。これも噂やがcrudeの幹部がお前んとこの高校におるっちゅう話や。見つけ出してくれへんか?」
要求に少し考える豹。
「......まぁ、いいですよ」
「本当かっ!?」
「えぇ。僕にはとっても強い味方が居るので見つけ出すのは簡単だと思いますよ」
「強い味方?皇達か?」
「彼らも十分強いですが、もう一人居ますよ。ヒントは鼬、とでも言っておきましょうか」
「?」
誰だ?と首を傾げる銀に豹は微笑み、ソファーから腰をあげる。
「では、僕はこれで帰りますね。それと、誰だか分かっていないあなたにもう一つ出血大サービスのヒントです。彼は沢山の情報を保有しています。情報を集めるのも得意なようですね。もうお分かりでしょう?次は見つけ次第、こちらから連絡します。また今度、銀」
試すような微笑みで口角をあげ扉の向こうに出ていった豹に銀は呆然とその背を見送った。
妖艶に色気を醸し出しながら、それでいて高貴な微笑みは銀だけではなくこの世の者全てを陥れる、そんな微笑み。男らしい銀の顔が薄く色づいた事に本人さえも気づいていない。それほどに彼に見惚れていた。
数分後ようやくもとに戻った銀は彼の最後のヒントを思いだし叫喚の声をあげた。
「長居してすみませんでした、店長」
「長居っつっても二時間ほどだろう。そんで、どんな話ししてたんだよ?」
「秘密です。けれどとても有意義な情報が得られたのでよかったですよ」
「そうかいそうかい。そりゃよかったな!!」
豪快に声をあげて笑う店長に豹はえぇ、と頷き微笑んだ。
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