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side悠
焦りと不安から震える手を結んで強く握り締める。
話している相手を見なければと思うが、慧杜の目を見ることが出来ず俯く。
(どうしよう…謝んな……)
ポンッ
(っ…!?)
はやく謝罪をしなければと思っていると、頭を優しく撫でられた。
「大丈夫ですよ…」
「ぇ…」
「俺は全然嫌じゃないですから」
「嫌じゃない」そうはっきり言われて顔を上げると、慧杜は慈しむような目で微笑んでいた。
慧杜に微笑まれて、頭を撫でられて、今まで張り詰めていた糸が切れたように不安や苦しみが込み上げ視界が滲んだ。
(あれ…何で涙なんか…)
「隠さないで…」
慧杜が両手で頬を包んで顔を上げさせた。
「何度でも言います。人の目や声を気にすること、俺は決して嫌じゃないです」
慧杜は俺の気持ちを肯定する言葉を紡ぎながら、涙で濡れた目許を親指で優しく拭ってくれた。
「俺は神木さんの心の中に溜まっているものを吐き出して欲しいんです」
「吐き、出す…」
「神木さんの心の中にある我慢の器は、不安や恐怖心を溜め込み過ぎなんだと思います。今にも溢れてしまいそうな程に」
慧杜は話している間もずっと、頭を優しく撫で涙が溢れては指で拭ってくれていた。
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