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46.(過去【瑠依編】4.)
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side瑠依
「……」
話を一旦切って千世の方を見ると何も言わず、ただ悲痛な顔をしていた。
「そんな顔しないでください」
そっと千世の頬を優しく包むと、千世の眼が潤んできた。
「あーぁ、瑠依が泣かせたー」
「俺のせいかよ!てか、お前も潤んでるぞ」
「るせ…」
「ごめ…瑠依…だいじょぶ…」
涙を流さないようにと我慢する千世の頭を撫でる。
「…高校では小学校から続けているフルートをやめたくないのと、一人でいる時間が少なくなるようにっていう理由から吹奏楽部に入ったんです」
続きを話し出した俺を千世と悠は見つめてきた。
「高校の部活はとてもハードだったんですけど、おかげで悠と会うことが出来たんすよね…」
「そうなんだ…」
「瑠依は基本的誰にでも優しく振舞っていましたが、傍から見てるとすごく無理をしているように見えて…人の表情気にし過ぎだなとは思ったんですけど、どうしても気になって…」
「悠が俺に声をかけてくれたんです…」
そうだったんだ、と千世は相槌をうつ。
「俺は悠と話しているうちに段々両親や妹、祖父と過ごしていたときのように笑えるようになりました」
「そっか…俺、瑠依の笑顔綺麗だなと思ってたから、この笑顔を取り戻してくれた悠に感謝だね」
涙を浮かべながら微笑む千世に俺と悠は顔を見合わせ、「千世さんのが綺麗だよ」とハモった。
その言葉に千世はおどおどし始めたので、それが面白く悠と俺はクスクスと笑っていた。
「そういえば、悠…」
「ん?」
「お前慧杜さんにトラウマの話しかしてないの?」
まぁね、と頷く悠といきなり話を変えた俺に千世が?を浮かべていた。
「あー、えと…瑠依のお祖父さんが亡くなった飛行機事故の飛行機に俺の両親も乗ってたっていうはな…し…」
話の最後が途切れ途切れになっていたのを不思議に思い、悠の視線の先を見ると、千世が今まで我慢していた涙をポロポロと零していた。
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