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熱誠カタルシス -出逢い-10
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自然に顔が緩む。
おかしかった。
この目の前に居る少年は…、ハーフだろうか……?
とても日本人離れをした容姿をしているのに、住んでいるのは『純日本家屋』で、家は『武道の道場』をしていて、そして『合気道有段者』で、その上食べるお菓子は『かりん糖』。
ミスマッチ過ぎる…。
中身はまったくの日本人。
「俺、幹颯斗。お前の名前も教えてよ。櫻木…なんていうの?」
益々、興味を持った。
知りたい、栗毛ことを。
颯斗の問いに栗毛は、無表情で黙っている。
躊躇している…?
もしかして、教えたくないような…栗毛に似つかわしくない名前なのかな?
モロ日本的な…『太郎』とか『次郎』だったりして。
勝手な想像が頭をめぐり、さらに顔が緩む。
しばしの沈黙の後。
「……綾世…。櫻木綾世」
ボソッと、でも澄んだ聞き取りやすい声が聞こえた。
なんだ、普通。
いや! 普通じゃなく、とっても綺麗な名前だ。
中性的な栗毛には、良く似合っている。
緩んだ顔のままの颯斗を、綾世は無表情に…いや、眉間に少しシワを寄せ怪訝そうに見ている。
「そんなにおかしなこと、言ったか?」
無表情に思える綾世は、微妙に変化を見せた。
気をつけて見ていないと、見落としてしまいそうな微かな変化。
瞳や眉に、微かに感情が読める。
こいつ面白いや。
「俺、お前のこと好きだ!」
言葉が自然に出た。
綾世の大きな瞳が、更に少し大きく見開かる。
驚いた様子。
まぁ、初対面の人間にいきなり『好き!』なんて言われたら、普通ビックリするか…。
でも、言いたかった……。 伝えたかった。
考えるより先に、思ったことを言葉や行動に移してしまう。
それは颯斗の長所であり、短所でもある。
突然の告白に、綾世の瞳は伏せられた。
初めてはっきりと、感情が読み取れる顔だ。
それは…、悲しい表情だった。
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