アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
熱誠カタルシス ー夏の日々ー2
-
颯斗にとって大きな発見。
綾世は笑うとすっごく可愛い!
稽古が終わり、汗をぬぐっている綾世に駆け寄る。
「なぁなぁ、いっつもチビ達と一緒の時みたいに笑ってればいいのに」
タオルから顔を上げ颯斗を見る綾世は、やっぱり無表情だ。
なんでだよ…くそぅ……。
両頬に人差し指を当てて、にっこり笑って見せる。
「ほら、にこにこ。笑ってミソ?」
冷た~い、一瞥を向けられた。
「颯斗の顔変……面白くも無いのに笑えない」
「変顔ちっげーし!ひっでぇ~なぁ…」
大げさに口を尖らせると、綾世が小さく笑った。
子供達に向けるものとは違うけど、はにかむような笑顔。
一緒に過ごす夏休みの間、その笑顔を颯斗が見る回数は徐々に増えていった。
*****
「余計なお世話かもしれないけど、夏休みの宿題はちゃんと終わってるのか?」
いつものように、櫻木家でお昼御飯をご馳走になっている時に綾世が訊いた。
夏休みも10日を切り、あと数日。
毎日朝7時には朝食を済ませ、櫻木家に直行して朝稽古に参加し、日中は綾世と過ごし、夕飯前に祖母の家に戻り、夜御飯を食べて寝る。
それが、パターンとなっていた。
だから、宿題はもちろんほとんど片付いていない。
黙り込んだ颯斗の様子で、察した綾世が続ける。
「それ食べたら、帰りなよ。 ちゃんとやるべきことは、やんなよ」
厳しいけど、真面目で几帳面な綾世らしいお言葉だ。
忙しい中でも、綾世はしっかりとやるべきことは確実にこなしているのだろう。
同じ歳なのに……。
そう思うと、自分が情けなくなってくる。
それに、実家に帰るのももうすぐなのに。
ここで、溜まった宿題のせいで、綾世に会えなくなるのは大打撃だ。
自業自得なんだけどさ……。
大きなため息が出た。
「うちの居心地が良いなら、ここに持って来なさい。 解らないところがあれば、綾世に教えてもらえばいい」
一緒に食卓を囲んでいた祖父さんが、二人の会話に口を挟んだ。
「教えてもらうって…、綾世に解かるのかよ?」
何気ない颯斗の言葉に、一瞬綾世の箸が止まった。
表情は、相変わらず無表情に見えるけど…。
なにか変な事を言ってしまったのかと考えて、気が付く。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 189