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熱誠カタルシス ー夏の日々ー5
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そして何より、あの幼く見える笑顔をもっともっと傍で見たかった。
今まで感じた事のない、遣るせない切なさに胸が痛んだ。
どうして、こんなに切ないのだろうか……?
「ねぇ、綾世の学校って聖藍学園だったよね?」
「ああ、そうじゃよ」
祖父さんは、答えて目を細めた。
「いつも冷めてる綾世が、颯斗と一緒に居ると年相応に楽しそうにしとった。わしも、それがとても嬉しかったよ。 冬休みには、またあの子も帰省するから、遊びに来てやってくれよ」
「うん。いろいろお世話になりました。じゃあ、またね!」
そう挨拶をして、櫻木家を後にした。
でも颯斗は、冬休みになっても櫻木家を訪れる事はなかった。
それは、颯斗には冬休みなんてのん気なものが無かったからだ。
聖監学園。
初等科から高等科まで、一貫した教育が受けられるエスカレータ校。
高等科は毎年、難関有名大学に多くの合格者を送り出している。
そこの中等部。
外部入学がどれほどの狭き門であるのかは容易に想像がつく。
『聖監学園を受験する』ことは、颯斗にとって無謀だということは百も承知だ。
だけど、何もしないうちから諦めることが出来ないのが、颯斗の性分。
やれる限りのことはする!
少しでも、綾世の傍に行きたい!!
ただ、それだけだった。
そして颯斗は、難関校の受験を決意したのだった。
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