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熱誠カタルシス ー再会ー1
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入学式会場への移動のため、新入生は各クラス順に廊下に並ぶように指示があった。
颯斗は仕方なく綾世探しを中断し、自分のクラス前の廊下に戻る。
「君、外部入学だよね?」
前に並んでいた2人のクラスメイトが、颯斗に気さくに話し掛けてくる。
「僕、柏木匡。こっちは田中正善。ヨロシク」
細い目をさらに糸のように細くして、笑いながら柏木が言い。
隣のメガネを掛け、神経質そうに見えるクラスメイトを指差す。
「喜多川小出身の幹颯斗です。 どうぞヨロシク」
大げさに頭を下げる。
その様子を見て、彼らは面白そうに笑った。
7割が初等部からのエスカレータ組の聖藍中学だけれど、彼らには新参者の外部入学者を快く受け入れ、肩身の狭い思いをさせないように…との、配慮があるみたいだった。
見渡すと、皆がもう以前からの友達のような顔でそれぞれに話をしている。
颯斗は、これから始まる新生活に心が弾んだ。
「それではこれから、A組から順番に体育館に移動します」
はるか前方、拡声器から聞こえる声に颯斗は顔を輝かせた。
澄んでよく通る声に聞き覚えがある!
背伸びをして、精一杯さらに伸び上がる。
そこに、見覚えのある顔。
見つけた!!
颯斗は大きく息を吸い込む。
「綾世!!」
大きな声で、その名を呼んだ。
一瞬、颯斗の周りがシンッと静まり返ったけれど、そんな事は気にも止めなかった。
颯斗の声に反応したように、綾世はこちらを見た。
目が合ったような気がした。
けど……なにも無かったように、フイッと目線が颯斗から外れてしまった。
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