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熱誠カタルシス ー予期せぬ、事態。ー4
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たどり着いた時にはすでに本怜は鳴り、授業は始まってしまっていた。
理科室のドアを開けるのには勇気がいったけれど、悩んだところで仕方が無い。
「すいません、遅れました」
教室に入り、深々と頭を下げた。
白衣を着た、ひょろりと背の高い白衣姿の武田先生が教壇に立っている。
出席はすでに取り終わっているらしく、颯斗の顔を見るなり言った。
「幹颯斗、遅刻だぞ」
「すいません、迷ってしまって……」
苦笑いで先生を見る。
「お前、外部入学だったな?」
「はい。そうです…よろしくです!」
言って、敬礼をしてみせる。
武田先生は穏やかに笑った。
厳しいらしい先生だけど、目じりに皺が出来てとても優しい印象になる。
「あんまり反省してないな。今回は大目に見るが、次回からは遅れるなよ。さぁ、席に着け!」
閉じていた出席簿を開き、なにやら修正している。
その手を休めず「おい、エスカレータ組。面倒見てやれよ」と、言った。
颯斗は自分の席に着く。
「迷ちゃって…、参ったよ」
同じ実験机の横に座るクラスメイトちに話しかけたけれど、彼は何も言わず口の端を上げ笑った。
その顔になにか違和感を覚えたけれど、授業が始まったので、気のせいだろうと考えるのを止めた。
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