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熱誠カタルシス ー予期せぬ、事態。ー6
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初めて、誰とも言葉を交わさないという事が、こんなにもつらく苦しい事なのだということを知った。
教室に自分の居場所がないと知った時から、颯斗は綾世を探しに行かなくなった。
いや……行けなくなったのだ。
ここを留守にすると、この場所さえも無くなってしまいそうで怖かった。
そうやって、ただぼんやリと数日が過ぎていった。
そのうち、自分の存在がクラスメイト達には本当に見えていないのではないかと思えてくる。
まるで、透明人間にでもなった気分だった。
嫌がらせを受ける方がまだマシかもしれない…。
それならまだ、相手にしてもらえているのだから反撃だって出来るのに…。
いっそ、学校を辞めてしまおうか…。
今までの環境と違う私立校で、クラスメイトに無視され、このまま友達も出来ず……。
勉強だって付いていけるのか不安だ…。
綾世のことは遠目には見かけることはあっても、声を掛けることすら未だに出来ていない。
この先ずっと…、このまま何も進展することがなかったら……?
このままで、やっていけるのか…?
合格したこと自体、奇跡だって言われているんだ…。
もう、それだけで十分じゃないか?
窓の外、穏やかな青い空を見ながら考える。
どうして、こんな事になったんだろう…。
ただ………。
ただ、綾世の傍に居たかっただけなのに…。
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