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熱誠カタルシス ー友達ー1
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鬱々と考え込む颯斗の頭に、弾むような明るい可愛らしい声が降ってきた。
「あの…、幹颯斗くん。僕と友達になってもらえませんか?」
いま、名前を呼ばれた?
颯斗はゆっくりと顔を上げる。
一瞬、自分に向けられた言葉なのだと理解できなかった。
自分の世界にどっぷりと浸っていて気配すら感じなかったのだけれど、女の子みたいな少年が前に立ち、颯斗を見下ろしていた。
小柄で色白、丸顔で大きな目。
少し茶色がかった、真っ直ぐの髪をボブ風に切りそろえている。
「僕と、友達になってもらえませんか?」
彼はもう一度、繰り返す。
仰ぎ見る颯斗の顔を覗き込み、にっこりと笑った。
「C組の川那辺律基(カワナベリツキ)です。ヨロシク」
そして、右手を差し出す。
颯斗は慌てて俯く。
ヤバイ、泣きそうだ…。
名前を呼ばれ話し掛けられただけでも嬉しいのに…『友達になって欲しい』と、言うのだ。
涙が滲んで、泣き出してしまいそうだった。
嬉しい…すっごい、堪らなく嬉しい!
…でも………
颯斗は一度静かに目を閉じ、口を開いた。
「ありがとう。でも……ごめん、友達にはなれない」
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