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熱誠カタルシス ー希望ー1
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「幹君、顔が怖いんですけど…」
昼休み、D組の教室で颯斗と弁当を広げていた律基が言う。
律基に『頑張る宣言』をしてから数日。
綾世へのアプローチを試みるものの全て空振りに終わり、それに比例して日に日に颯斗の表情は険しくなっていく。
毎日顔をあわせる律基は、居心地が悪い。
「そんな顔が前にあると、弁当が不味くなる…。せめてさ、ここ何とかしてよ…ここっ!」
颯斗の眉間を指差す。
「僕の玉子焼きあげるから、機嫌直してよ。イライラには甘いもの!」
律基は玉子焼きを、颯斗の弁当箱へ放り込んだ。
「なに言ってんだよ、川那辺。イライラにはカルシウムだろぉが!」
突然、頭上から牛乳パックが落ちてきた。
「西嶋くん。この牛乳、飲まないの?」
「うん。牛乳買ったら『もうすぐ期限切れだから』って、購買のオバちゃんがもう1個くれたんだけどさ…2個もいらねぇっつうの!」
そう言って、そのまま颯斗と律基の間にイスを引き寄せ座る。
「今日はここで食べるの…?」
「さすらいの旅人。仲間に入れてくれよ」
いつもは特定のグループで昼食を取る西嶋だが、たまに颯斗達のところにやって来る。
入学早々シカトの対象になった颯斗をすぐに助けられなかった後ろめたさからか、委員長の責任感からか、こうやって様子を伺ってくれているのだ。
ガサガサとビニール袋から購買部で購入したパンを出し、頬張りながら颯斗の顔をチラリと見た。
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