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熱誠カタルシス ー偽りと、真実。ー1
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放課後、颯斗ははやる気持ちを抑える事が出来ず、随分早くに集合場所の小講堂に来てしまった。
まだ、掃除時間も終わってないうちから教室を飛び出して来たのだ。
きっと、まだ誰も来ていない。
そう思って、ドアを開ける。
講堂内を覗き込み、颯斗は息を呑んだ。
そこには、窓辺に頬杖を付いて座り、グランドを見下ろす綾世の姿があった。
静かな講堂内に、ドアを開ける音はかなり響いたはずなのに、綾世は振り向かない。
まるで、颯斗の気配に気が付いていないようだ。
颯斗はそっと、綾世へと歩み寄った。
「綾世……」
恐る恐る、声を掛ける。
それでも綾世はグランドに視線を向けたまま、こちらを見ようとはしない。
「友達…出来たみたいだね……」
「へ…?!」
ここには二人しか居ないのに、その言葉が自分に向けられたものなのか一瞬迷う。
「よかったよ。もう、俺は必要ないだろ?」
抑揚の無い、冷たい声。
背を向ける綾世の表情は見えないけれど、きっといつもの無表情なのだろう…。
「なに言ってるんだよ…?!」
「さぁ…準備しないと……」
すがり付くような颯斗の声を遮るように、綾世はイスから立ち上がり、何事もなかったかのように目の前を横切って行く。
「ちょっと、待てよ!」
綾世の腕を、後ろから力いっぱい引っ張った。
颯斗の予期せぬ行動に、綾世はバランスを崩し倒れ掛かる。
颯斗は、慌てて抱き止めた。
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