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熱誠カタルシス ー偽りと、真実。ー4
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翌朝D組の教室で、律基が登校して来る颯斗を待ち構えていた。
「おっはよ~! ねぇ、昨日は櫻木さんとちゃんと話出来た?」
あぁ、朝からなんて爽やかでテンションが高いんだ…。
いつもならそれ以上のテンションで返す颯斗だが、さすがに昨日のショックでそんな元気は無い。
「ヤダなぁ~。 なんなの? 朝からその淀んだ空気は…」
机に荷物を投げるように置き、イスに座るとため息が出た。
律基は、心配げに颯斗を見下ろしている。
「よっ、幹! 昨日の会議内容、教えろ」
朝の挨拶も無しに、西嶋が言う。
こちらもテンションは高い。
「周防さんが、仮病使うならアリバイもしっかりしろってさ~」
「えぇ!? ばれたのか?」
「お前がのん気に、校庭でサッカーなんかやってるからだろ」
「うわ~…今度会った時に怒られるかなぁ~。 周防さん厳しそうだし…。 まぁ、いいや。 で、会議の内容は…?」
なんて楽観的な奴なんだ…。
本来颯斗も同類だが、今は楽観的になどなっていられない。
「すまん。聞いてなかった…」
実際、会議については右から左で、颯斗の記憶には何にも残っていない。
「幹ィ~。 お前なぁ~…」
「もぅ、仕方ないじゃん! 大体、幹くんに押し付けた西嶋くんが悪いんでしょ? ほら、さっさと他のクラスの級長に聞きに行った方がいいんじゃないの? 朝礼での報告に間に合わなくなるよ!」
恨みがましく言う西嶋に律基が冷たく言い放ち、『シッシッ』と、まるで犬を追い払うような仕草をする。
「ひでぇな~」
不満を言い残し、西嶋は教室を出て行った。
律基は空いているイスを引き寄せ、颯斗の正面に座った。
「どうしたの。 昨日、櫻木さんと何かあった?」
颯斗を気遣う、優しい声。
その声に不覚にも泣き出したくなるのをグッと堪え、昨日綾世と交わした会話を律基に全て話した。
『必要ない』
「あれは『“俺にとって綾世が”、必要ない』。 じゃなくって、『“綾世にとって俺が”、必要ない』って、ことだったのかな……」
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