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熱誠カタルシス ー偽りと、真実。ー6
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「幹くん!」
帰り支度を終え、教室を出ようとしていた颯斗に、律基が廊下を駆けてくる。
「今日は部活だろ。なんかあった?」
律基は、吹奏楽部と美術部の掛け持ちをしている。
更に、ピアノだかバイオリンだかの習い事をしていて、放課後は毎日忙しそうにしていた。
運動が苦手で体力も無いと本人は言っているけど、運動能力はともかく、律基は十分タフだと思う。
習い事の日は、少しなら時間があるからと颯斗とつるむのだけれど、部活の日に放課後姿を見せるのはめずらしい。
課外クラブ活動が義務付けられている聖藍学園で、何部に入ろうか決めかね未だにどこにも所属せず帰宅部を決め込んでいる颯斗は、暇を持て余していていつでもウェルカム状態なのがちょっと虚しい…。
「幹くん、まだ部活決めてないんだ。遅くなると、どんどん入部し難くなると思うんだけどなぁ」
颯斗の思いを見透かしたような律基の視線。
「それは、解かってるんだけど…」
「幹くんは運動部希望だもんね。文化部だったら僕と同じ所に入部してもよかったんだけど…本人にその気が無いのに誘ったところで、幽霊部員が増えちゃ困るし。幹くんも楽しくなくっちゃ、意味ないしね」
「うん…」
律基は見た目はおっとりして頼りなさげだけど、それに反してしっかりとした考えを持ち、意見する。
『どこでもいいから取り敢えず入部届けを提出しろ』と、口うるさい担任や西嶋(委員長としての責任らしい)とは大違いだ。
「まぁ、そんなことはどうでもいいんだけど。あのね、来週の月曜日に全校朝礼あるでしょ。生徒会役員は、早朝に生徒会室に集合して打ち合わせをするらしいんだよね。だから特別棟の前で待ってたら、櫻木さんと話すチャンスがあると思うんだぁ」
にっこりと颯斗を見上げている。
「わざわざそれを伝えに来てくれたんだ!ありがとう」
「どういたしまして。こういう情報があると、幹くん益々やる気満々になるかと思ってさ。 じゃあね!」
廊下へ向う途中の律基を、いきなり颯斗のクラスメイトが突き飛ばした。
それは、明らかにわざとだった。
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