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熱誠カタルシス ー偽りと、真実。ー10
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学生ホールでの事を思い出す。
あの時、綾世が現れると律基は顔を伏せていた。
あれはもしかして、あの時の会話のせいじゃなかった…?
「川那辺は幹と一緒で、櫻木さんのことが大好きだよ。 そしてお前のこと、真剣に応援してる。 騙そうとか邪魔してやるとか、そういう事する奴じゃないよ…そんなこと、俺に言われなくても解かってるだろうけど。 従兄弟だって事を言い出せなかったのは、何か理由があるんだと思う。 だから責めるんじゃなく、話を聞いてやれよ。 追い詰めないでやってくれ……」
西嶋は、大きく息を吐いた。
「俺が言いたかったのは、それだけです! 幹からの言い分があったら、聞くけど?」
スッキリしたように、西嶋が笑顔を向ける。
「いや…。西嶋って、川那辺のことよく理解してるんだな…」
「それはどうだろ…。 たまたま初等科の高学年で同じクラスになって、クラス委員とか一緒にやって、他の奴より一緒に居る時間が長かったからってだけの様な気もするけど…」
「…そっかなぁ……」
それでも、律基の側に西嶋が居てくれて良かったと思う。
律基は西嶋には、とても素直な気がする。
素直に毒を吐く。
それが気を遣うことの無い、本来の律基なのだろう。
少なくとも律基は綾世のように、一人ぼっちじゃなかったのだと思うと気持ちが少し楽になった。
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