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熱誠カタルシス ー偽りと、真実。ー14
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颯斗は教室に荷物を置くと、隣の律基の教室へ向った。
出入り口から室内を覗き込み、律基の姿を探していると、C組の生徒二人に話しかけられる。
「金曜に幹君のクラスで、川那辺くんが怪我させられたんだって?」
「え…? あの…怪我ひどそうだった?」
「本人は躓いたんだって…、なんとも無いって言うけど……」
「目撃者が居るから、そんなの嘘だってみんな知ってるのに…、それでも言い張ってるよ。 挫いた程度らしいけど、包帯巻いてる」
「……」
「川那辺くんにあんまり酷い事をするようなら、許しておけないって奴も居るんだってこと、今度何か仕掛けられたらそいつ等に言っといてよ!」
「へ…?」
間抜けな顔の颯斗を見て、二人は笑う。
「川那辺くん、可愛いし結構人気者だよ。 知らなかった? たまにはさ、幹くんがC組に遊びに来なよ!」
「そうそう。 うちの姫様を貸し出したうえに、怪我させられたんじゃたまんないよな」
いつも律基がD組に来るので、C組の様子はわからなかったけど、律基はクラスメイトにとても愛されているらしい。
そういえば、うちのクラスにも川那辺に嬉しそうに話しかける奴が何人か居たような…。
「はは…本当にお邪魔してもいいのかな…?」
「少なくとも、俺らは大歓迎だよ。なぁ?」
「うん。 そう言えば、幹くんは川那辺くんを訪ねて来たんだろ? あそこに居るよ」
指差す方向を見ると、律基は後ろの方の席で数人の生徒と話しをしていた。
「ありがとう」
礼を言って、教室内の律基を目指す。
颯斗に気が付いた律基が、イスから立ち上がった。
「ちょっと待て! 俺がそっちに行くから、そこに居ろよっ!」
左足を引きずって、こちらに歩き出そうとした律基を静止する。
律基は、颯斗が目の前に到着すると同時に頭を下げ、開口一番に謝った。
「幹君、ごめんなさい…」
律基のクラスメイトの視線が痛い。
「あれ…? 俺、川那辺に謝られることあったっけ?」
わざと、大きな声でおどけて言う。
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