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熱誠カタルシス ー熱誠、カタルシス。ー5
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「あぁ、こっちが素だよ。『俺』の方が、とっつきにくい感じがするだろう? だから普段遣いは『俺』にしてた」
「なんだよ。そんなに細かいとこから、徹底してたのかよ…。まぁ、そんなに無理して頑張ってたんなら、無理するのを止めればいい。櫻木のためなら、代わりに頑張ってくれる奴らは掃いて捨てるほど居るだろうさ」
「『掃いて捨てる』って言い方はひどいな」
周防は鼻でフッと笑う。
「それは申し訳ない。まぁ…取り敢えず、まずは僕が代わりに頑張ります。って事で、今日中に提出の生徒会書類を預かるよ」
「え、でも…」
「放課後までに1年生のアンケート集計の結果を提出するの。ちゃんと、やっとくからさ。昼休みは、そいつらと一緒するんだろ? 嬉しいことに櫻木は、僕にも素を見せてくれるくらいには信頼してくれてるみたいだし…? それに応えるように、頑張りましょう!心配するなって、そのうち借りはきちんと返してもらうからさっ」
「なんだ、貸しか」
「当然。でも、その方が櫻木は気が楽なんじゃないか…?」
「うん…、ありがとう。周防は僕を特別視しないで常に対等で居てくれるから、本当に気が楽だよ…」
「それにしても、そいつは面白いくらい真っ直ぐで熱い奴だよな」
綾世が呟いた。
「颯斗の…そんなことろに惹かれるのかな……」
誰にも、聞き取れないような小さな声。
「えっ…?綾世、俺のことなんか言った!?」
「うん。『バカ』なだけだって、言ったんだよ」
バカって……。
ひでぇ~なぁ…。
「律。悪いけど、颯斗のこと保健室に連れて行って。 僕も…後から行くから」
「綾世…」
「綾ちゃん!」
呼びかけに、綾世はやっぱり無表情だったけれど、二人に向けられた瞳は優しい色をしていた。
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