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純真メランコリー 3
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「もっとしっかり前に倒す!」
「いってぇぇえ…」
いきなり、後ろから背中を押され声を上げる。
開脚前屈のストレッチ中。
「しっかり伸ばさないと、意味ないだろ」
そう言いながら、グイグイ背中を押してくる。
「痛い!痛いってば、綾世さん!!」
地面に押さえつけられるような体勢で、顔だけ必死に後ろに向けてその姿を確認する。
見上げた綾世は、両手に生徒会の資料と思われる荷物を抱えている。
あ……足ぃい…。
「綾世さん…容赦ない…」
「悪いな。生憎、両手が塞がってた」
「ひでぇ…」
颯斗の背中から足を下ろした綾世は、その片足に上履きを履く。
「ははは。櫻木に愛されてんな…」
綾世の後ろに、同じく生徒会資料らしき物を持つ男が立ち、颯斗を見下ろしている。
「周防さん…。どうやったらそう見えるんすか?」
どう見ても、足蹴にされてるだけだし…。
「無関心人間の櫻木が、わざわざ上履きを脱いでまで幹の背中を押したんだ。しかも、荷物いっぱい持ってるんだぞ。バランス崩す可能性だってあるのに、そんな危険を冒してでも構いたかったってことだな」
「………!」
マジか!
すっげぇ嬉しい!!
「…いや、そんなつもりは……」
綾世の呟きを無視して、周防が颯斗に言う。
「僕の知る限りでは、櫻木は知り合いが居ても通常スルーだもんな」
「周防がそんなに僕のことを解ってるとは思えないけど…」
綾世が抑揚のない言葉を周防に向ける。
「うん…まぁ。でも、他の奴等よりは理解してると思ってるんだけど?」
周防が目を細めて、綾世の顔をのぞき込んだ。
そんな周防を、表情も変えずに綾世が一瞥する。
「…それはどうだか」
「またまた」
普段他人を寄せ付けない態度の綾世が、周防とはいくらか親しげ。
・・・なんだか不愉快だ。
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