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純真メランコリー 6
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腕を組み、睨むような視線を向けられた。
怒らせた…?
「あ…いや。じゃぁ、親戚に外国の方がいらっしゃってもおかしくはないのかなぁ~なんて…」
「そんなの知らない…。だって、今までそんな話聞いたこともないもん!ってか、なに『外国の方』って…急に変な日本語使わないでよね」
……律基の機嫌がめちゃくちゃ悪い…。
「綾ちゃんの両親は事故で死んじゃってるし…。ずっとお祖父ちゃん家で暮らしてて、父親方の親戚とか一度も話が出たことないもん…」
綾世の両親が亡くなっていることは、祖父さんから聞いているから颯斗も知っている。
兄弟のように育った律基が何も知らないのであれば、もぅ本人に訊くしかないだろう。
寮生の綾世と、自宅通学の颯斗が一緒に帰ることは叶わない。
だから、いつも部活終わりに生徒会室が在る特別棟の学生ホールで待ち合わせて、少しの時間だけど他愛のない話をする。
それが日課となっている。
もちろん毎日ってわけにはいかないけれど、都合で無理な時にはお互い事前に断りを入れる。
それが無かった今日は、部活後に学生ホールで待っていればまた綾世に会うことができるのだ。
その時に直接本人に訊いてみよう…。
「陸上部もさぁ雨なのによくやるよねー。休んじゃえばいいじゃん!」
律基が何とも投げやりな発言をした。
…おいっ、こら!
グランド走りたくても連日の雨で走れなくて、やりたくもない体力作りの筋力トレーニングを泣く泣く頑張ってる陸上部に向かって何てことをっ!
思いっきり走れないから、ただでさえストレス抱えてるのにそんなこと言ったらみんなの反感買いまくるだろうがっ……!!
「そう思うならさ~。川那辺くん毎日応援に来てくれないかな~? そしたらみんな張り切って頑張ると思うよ~!」
陸上部部長が、部員達には馴染みのない和やかな口調で返した。
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