アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
純真メランコリー 7
-
…そうだった。
律基は何を言っても大概許されてしまうのだ。
裏で『姫』ってあだ名付いてて、我儘だけど天真爛漫な憎めない性格と見た目の可愛らしさで、実は学年を問わずかなりのファンが居るらしい。
「う~ん…。僕、運動嫌いだからなぁ。走ってるの応援するならまだしも、筋トレとか…見てるだけでも疲れちゃいます」
そう言って、にっこりと笑う。
あぁ…その笑顔に癒される奴がここにどれだけ居るのだろうか……。
「幹君!僕、綾ちゃんのこと気になるから様子見て来るね!」
「え?あぁ、うん!」
何故だか、陸上部全員が律基を見送る。
「あ~…。幹が入部してからというもの、櫻木君や川那辺君を間近で見れて"目の保養"出来るし、話をするチャンスもあってラッキーだよなぁ」
「そうそう!幹、お前はなんていい仕事するんだ!!」
先輩たちにそう言われながら、颯斗は小突きまわされる。
いつもはそんな攻撃も身軽にかわすのだけど、両手一杯の荷物が仇となってされるがままだ。
「え~っと…褒められてるっすかね?なんか、ちっとも嬉しくないっすけど…。大体、二人がそんなに見たけりゃ呼ぶなり会いに行くなりすればいいし、いくらでも話せばいいじゃないですか!」
別に、颯斗がどうこう言われることじゃない。
まぁ…綾世と律基の話題から、遅れて入部した颯斗がすんなりとみんなに受け入れられて、二人には感謝だけどさ。
「お前……な~~んも、解ってない!!」
「はぁ……?」
「それが出来てたら、こんなにもお前を重宝しないっての!」
「えぇ!?」
「櫻木君に踏まれやがって!」
「川那辺君に睨まれたりして!」
「「「くっそ、羨ましいぞ!!」」」」
「はぁ~…?」
ちょぉっ、先輩たちの言ってる意味が理解し難いのだが…。
踏まれたいの?
睨まれたいのか!?
小突かれ続けて、このままだとどさくさ紛れにボコボコにされそうな予感。
いや、間違いなく!
「俺!生徒会室に、これ届けて来ます!!」
颯斗は頼まれ仕事を理由にその場を逃げ出す。
「幹――ッ!猛ダッシュだ!!」
「お前は陸上部の星だッ!生徒会室まで走り続けろ―――止まるんじゃねぇぞ!」
後ろから部員達の叫びが響く。
その声を聞きながら、颯斗の口元が緩んだ。
走るのも楽しい!
部活のみんなも、良い奴ばっかで大好きだ!!
綾世の勧め通り陸上部に入部してよかった!
綾世を追いかけて聖藍に来てよかった!!
颯斗はテンション高く、生徒会室までの階段を一気に駆け上がった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
85 / 189