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純真メランコリー 39
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颯斗は屈んで目線を綾世に合わせた。
「なんでここに一人で居んの?」
一人きりだと余計に不安だろうに…。
「律から颯斗がこっちに向かっているって聞いたから、待ってた。今、お祖父さんは点滴打って落ち着いたから…寝てるんだ。病室にはみんなが居てくれてるし……」
「俺のこと、わざわざ待っててくれたの…?」
「病院広いし。颯斗が迷子になったら困るだろ…?」
こんな時に不謹慎かもしれないけれど、綾世が自分のことを気にしてくれていたことが嬉しい。
綾世は自分の両頬を軽く叩き立ち上がる。
その気合を入れるような行動と共に、いつもの無表情を貼り付けていた。
「じゃぁ・・・病室行こうか・・・」
歩き出した綾世の腕を取り、引き留める。
綾世は振り返って不思議そうに颯斗を見た。
「いい。行かない」
「え…?」
「祖父さん寝てるんだろ?川那辺に大丈夫だって聞いてるし」
綾世が怪訝な顔を向けた。
今日は、なんだか表情がとても解りやすい。
「じゃぁ、何しに来た…」
颯斗はそっと綾世を抱きしめた。
「颯斗…?!」
不安そうにしていた綾世を見ていたら、つい考えるより先に行動にでてしまった。
そうした後で、嫌がられたらどうしようかと思ったけれど、抵抗などはされなかった。
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