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純真メランコリー 40
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背中に回した手で、そっと綾世の背を擦る。
「俺、綾世さんのことが心配で様子を見に来たんだ」
「………」
颯斗の言葉に綾世は何も言わなかった。
「また、なんか一人でいろんなこと考え込んでない?自分のこと責めてない…?」
「………」
「俺、役に立たないかな? 綾世のために何か出来ることない?」
颯斗の肩に、綾世が少し頭を預けた。
その重みが、ほんのちょっとでも頼られているのだという様な気がして、たまらなく嬉しい。
「…お祖父さんが倒れたのは……僕のせいだ」
「は…?!」
倒れたのが綾世のせい…?!
祖父さんが倒れて、何も出来なかったことがショックだったんじゃなくて…?
倒れる原因を作ったのが綾世なのか?!
物陰に隠れてて、いきなり脅かした…とか?
毒盛った!?…とか、ありえんしっ!
一瞬でいろんな想像が颯斗の頭の中に浮かんだ。
けど、どれも違うだろ…。
綾世の言葉をどう理解していいのか分からなかった。
「あの……綾世さん…?」
戸惑った様子を察した綾世が、颯斗の腕を軽く払うようにして躰を離した。
「…ごめん……やっぱり、颯斗に話す事じゃなかった…」
そう言うと颯斗から視線を逸らし、瞳を伏せる。
「…今の忘れて」
「え…?」
少しづつ近づいた距離が、また一気に突き放されてしまう様な気がした。
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