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純真メランコリー 44
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「綾がそんなこと思ってるなんて知ったら、お祖父ちゃん、今度は倒れるくらいじゃ済まないよ? ショックで死ぬね。これだけは覚えておきなさい。あなたが居るからお祖父ちゃんは元気なの!じゃなかったら、今みたいに現役で道場に立ったり出来てないよ?きっと、よぼよぼだわね」
女言葉だからそうとは感じないけれど、言ってる事は結構酷いような気がするぞ。
祖父さん、“よぼよぼ”って…。
怪訝そうに見る颯斗の視線に気がついた彼女は、笑顔を向けた。
どことなく、笑った顔が誰かに似ている…。
「幹君ね。噂は、かねがね聞いてます。うちの子たちと仲良くしてくれて、ありがとう」
「へ…? 噂?!」
うちの子たち…?
ってか、この人は誰だよ?!
尋ねようにも、綾世はじっと彼女の顔を見つめている。
その横顔が目の前の彼女とちょっと似ているような気がした。
「響(ヒビキ)姉ちゃん、居た!」
静かなロビー内に聞き覚えのある声が響く。
「唱(ショウ)ちゃん奏(カナ)ちゃん!響(ヒビキ)姉ちゃん、綾ちゃんと一緒だったよ!」
廊下から姿を現した律基が、後ろに向かって大きな声で言った。
「ここは病院!」
「律、静かに!」
遅れてロビーに到着した女二人に、律基がたしなめられている。
そして、彼女たちの後ろからスラリと背の高い男。
遠目にも、それがマークだとわかった。
「律基の一番上の姉、響です」
そう名乗られて、颯斗はつい目の前の人をマジマジと見てしまった。
あぁ、笑顔がどことなく律基に似てるんだ。
それでいて、やっぱり血の繋がりがあるからか、凛とした表情とか雰囲気が、なんとなく綾世に似ているような気がした。
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