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純真メランコリー 46
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「よし!じゃぁ、今日はみんな川那辺家ね。あ、幹君はちゃんと送って行くから」
「響ちゃん…。僕は櫻木の家に帰る」
「…なんで?」
「慌てて出て来たし…。戸締まりとか、心配だから…」
申し訳なさそうに、おずおずと綾世が言う。
「じゃぁ、戸締まり確認しに寄ってうちへ…」
「いや、ごめん!そうじゃなく、家に帰りたい。櫻木の家に居たいんだ…」
「でも、綾ひとりじゃ……」
…響さんが綾世を心配する気持ちはよく解る。
祖父さんが倒れたことに、ショックを受けている綾世を、誰も居ない家に独りきりにしてしまうことの不安。
でもだからこそ、綾世は安心できる場所に帰りたいのかもしれない…。
颯斗は、出来る限り綾世の思いを叶えてあげたかった。
「俺が泊まります!綾世さんと一緒に居ます!!」
「え…?」
今、綾世のために颯斗がしてあげられることは、それしか思いつかない。
「近くに俺の祖母ちゃん家あるし、何かあったらすぐ川那辺にも連絡します!」
「お願いしよう! 綾ちゃんは、幹君と一緒だったら大丈夫だと思う!」
颯斗を援護するように、律基が声を張り上げた。
「じゃ…」
「マークさんは、うち(川那辺家)ですよ!」
その上、何か言いかけたマークの言葉を遮った。
「そうね。マークさんはうちの方が、しっかりおもてなしできるものね」
「そうそう!さぁ、マークさんは私達と行きましょう!!」
間髪入れずに、双子の姉達が反論した気なマークの両腕にまとわりつくと、引きずるようにして先頭に立ち、出入り口へと向かって行った。
律基が颯斗へ、満足気に嬉しそうな笑顔を見せた。
………?
あぁ、颯斗が櫻木家に泊まれるようになったからか?
それとも、マークを綾世の傍から、上手く追っ払えたから…かな?!
いまいち、満面な笑顔の意味を解りかねながらも、律基が随分と元気になっていることに安心した。
颯斗と同様に、律基を心配していた西嶋にも教えてやりたいな…。
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