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純真メランコリー 47
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大型のワンボックスカーの車中は、運転席に響さん、助手席に綾世。
後部座席に律基とマーク。
なぜか、颯斗が真ん中の座席に、両脇を双子の姉さん達に挟まれて座った。
櫻木家へ向かう道中、やたらと颯斗の事を根ほり葉ほり訊かれた。
ああ…逆に綾世のこと訊きたかったなぁ……。
なんて思ったりしていたら、あっという間に車は櫻木家の前に到着した。
車を降りる際に、律基の携帯電話を渡された。
綾世も颯斗も携帯電話を持っていない。
だから、何かあったらすぐに誰でもいいから登録されている川那辺の家族に連絡するようにと言われた。
「俺…なんかやっぱり、頼りにされてない…感じ……?」
車を見送り玄関へ向かいながら、手にする携帯を眺めて思わず呟いてしまった。
……情けないな、ちょっと凹む。
「颯斗は信頼されてるよ」
「へ…?」
「川那辺の人は、普通ならそんな個人情報満載な物を他人に預けたりしない。しかも、身内の僕が居るのに…だ」
「えっ?!」
「僕じゃ、何かあっても絶対に連絡しないと思って颯斗に頼んだんだろ…。随分と信頼されてるよ」
言われてみれば…。
「いやっ、なんか嬉しくなってきた!断然やる気!!」
一人盛り上がる颯斗を置き去りに、綾世は玄関ドアの鍵を開けて、さっさと中に入ってしまった。
「ちょ~っと、置き去りってひどくないっ!?」
文句を言いつつ覗き込むと、綾世が玄関の敲きにしゃがみ込んでいる。
「どうした?」
「ごめん、ちょっと慌てて出かけたから……」
そう言って綾世は散らかった靴を揃え、ほうきで簡単に掃く。
「さぁ、どうぞ上がって」
靴を脱ぎ揃えた綾世は、そう言って廊下を急ぎ足で居間へと向かう。
颯斗もスニーカーを脱ぎ捨て、その後を追った。
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