アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
純真メランコリー 49
-
勢いよく襖を開けると、客間にはすでに布団が一組敷かれていて、その脇には大きな旅行バックが置かれていた。
「ごめん、颯斗!客間は今、マークさんが使っている」
綾世も客間へ移動して、颯斗の後ろに立った。
「今日は申し訳ないけれど、僕と一緒の部屋で我慢して。そこの押入れから布団をひと組、二階の部屋まで運んで貰えるかな…」
「え…?えぇ!? 全然申し訳無くない!まじで綾世の部屋で寝てもいいの?!」
振り向き、マジマジと綾世の顔を見た。
学校が長期休みで櫻木家に入り浸る時、勉強を見てもらうのは居間や台所のテーブルだし、何度か泊めてもらったこともあるけれど、颯斗はいつも客間で寝ている。
実のところ、綾世の部屋どころか、颯斗は二階へ上がったことがないのだ。
「…そんなに驚くこと?」
「違うって! 俺、喜んでんの!!」
「なんで…?」
綾世が少し目を見開いて、キョトンとしている。
でかいな、目…ってか、感情が表情に出てる…!
「なんでって…。だって、楽しそうじゃん!いろんなこと話したり」
「…いつも話してるだろ?」
「やっ!そうだけど…。そうじゃなくって!」
綾世は不思議そうな顔をしている。
えぇ…?
「ワクワクしない?なんか、楽しい気持ちになんない!?」
「………」
…本当に……こんな気持ち、わかんないの?!
「修学旅行みたいにさ!いつもと違う…例えば、秘密の話したり!」
綾世の顔から、また表情がなくなった。
「修学旅行には行ってないから、よくわからない…」
「えっ?!」
「………」
あぁ…そっか!
小学校ではいろいろあったから……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
127 / 189