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純真メランコリー 50
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Γ…ごめん。俺…もしかして、嫌なこと思い出させたかな……」
「いいや。そうじゃなくて…体調崩したんだ。無理してまで行きたいと思わなかったし…だから、休んだ」
修学旅行と言ったら、普通は体調悪くても意地でも参加したい一大イベントだ。
綾世にとってはその程度の…いや、それ程の苦痛だったのかもしれない。
何ともないことのように言うけれど……他人と深く親しく接しなければならない行事は、綾世にとっては避けたいものだったのではないだろうか…。
綾世が押入れから布団一式を出し、運びやすいようにひと纏まりに重ねた。
その一番上には、枕。
「綾世さん!枕投げやろう!!」
「は…?」
なんか、こう…修学旅行のお楽しみの醍醐味みたいなものを、綾世に味あわせてあげたくなった。
「やろう!絶対楽しいから!!」
「やらない!」
冷ややかな視線で即答されてしまった。
「なんで?!」
「そもそも、枕は投げたりするものじゃない。それに、狭い部屋でそんな物を投げたりしたら割れ物に当たって惨事になるのは目に見えている」
もっともな…大人すぎる正論に、返す言葉もない。
でも、めげない!
「…んじゃぁさ。秘密の告白大会!」
先程にも増して、視線が冷ややかになった感じがする…ちょっと、呆れられてる?!
「秘密の告白って、なに?」
苦笑いを返しつつ、人差し指を突き立てる。
「定番で言うと、好きな女子の名前!」
「………」
真っ直ぐに向けられた視線に冷ややかさが消えた様な気がするけれど、感情も感じ取れなくなった。
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