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純真メランコリー 52
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「あの時、自覚はなかったけど、あまりのショックで、泣くことも出来ないくらい…どうしていいのかわからなかったんだろうな……。律が居なかったら、僕はどうなっていただろう……」
「………」
「…っと、ごめん。今の……」
「絶対、忘れないっ!」
綾世が次に言おうとする言葉が予想できたから、慌てて口を挟んだ。
「え…?」
知らない綾世の一面をまた知ることが出来たんだ。
それは、今までみたいに知って嬉しくなるような内容ではないけれど、綾世のことをもっと理解したいと思っている颯斗にとっては絶対に忘れたりできない。
「今のは、俺だから話してくれた"秘密の告白"なんだよな?」
「………」
「違う…?」
「"秘密の告白"って訳では…。ただ、つい…」
綾世は視線を合わそうとしない。
でもそれはきっと、思わず話してしまった事に照れているのだろう。
決して『秘密の告白』として打ち明けた訳ではないにしろ…綾世は颯斗だから、『つい』話してしまったのだ。
これが上機嫌にならずにいられる訳がない!
困った。
顔がにやける。
「颯斗は?」
「え…?」
「好きな女の子!!」
!!!!!
「えっ…あ……」
好きな女の子…女子?!
「あ……はは。いねぇや…」
いや、本当に…マジで居ない……。
「いぃってぇぇええ!!!」
いきなり顔面に枕を投げつけられた。
…しかも、有り得ないくらいに力いっぱい。
「人に質問しといて、自分は『居ない』なんて答えが許される訳ないだろう!」
顔を押さえてしゃがみ込む。
「枕…投げる物じゃないって言ったくせに…」
「………」
颯斗は投げつけられた枕を拾い上げ、立ち上がって振りかぶった。
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