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純真メランコリー 55
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脱衣所に用意されていたTシャツとハーフパンツを着て、タオルで髪の毛を拭きながら廊下へ出る。
一階の電気は、廊下以外消されていた。
綾世はきっと、二階の自分の部屋に居るのだろう。
颯斗は電気を消しながら階段へ向かう。
古い日本家屋の櫻木家の階段は、踏み外したら一気に下まで落ちてしまいそうな急角度の一直線。
一歩踏み出すたびに、床が軋む音が響く。
…静かで寂しい。
やっぱり綾世を一人にしないでよかった。と、つくづく思う。
階段を上りきる。
二階に部屋は三つ。
一番奥の麩から、光が漏れている。
綾世の部屋って、どんなんだろう?
きっと、整理整頓されてる綺麗な部屋なんだろうけど、家具とかどんな感じなんだろうか?
ベットかな? 布団かな??
…いや、きっと布団だ。
だって、見た目は洋風なのに、中身はめちゃ和風人間だもんな。
ノックをしようと握った拳を、意味なくクリクリと回してみたりして…。
ちょっと緊張。
2回軽くノックして、返事も待たずに麩を開けた。
「やっぱり布団だ!」
いきなりの一声に、綾世が読んでいた本から顔を上げて颯斗を見た。
綾世はふた組並べて敷いた布団に寝転がって読書中だった。
「なに…?」
「いやいや、綾世がベッドなのか布団なのか考えてたもんだから…。つい…」
「…変なの」
「はははは」
笑いつつ、ぐるりと部屋の中を見渡す。
正面の窓の下に、勉強机が置かれていた。
それも、畳に正座して使うやつ。
あ~…やっぱ、家具も和風。
一歩踏み込んで、入口側の壁一面の棚に目が釘づけになった。
えっ!?
「すげぇ………」
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