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純真メランコリー 59
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…律基が、綾世の外国行きのことが心配で寝れなかったくらいだ…。
きっと、綾世本人はもっと……。
ましてや、あんなことを考えていたのなら、ずっと…ろくに寝れていなかったはずだ。
預かっている、律基の携帯電話を手にする。
川那辺家の番号に掛けようとして思い直し、アドレス登録されている響さんの携帯番号に掛けた。
連絡を待っていたかのように、1コール目が鳴り終わらないうちに繋がった。
「もしもし、幹君?なにかあった?!」
「あっ…いえ…。綾世、寝ちゃいました……」
「え…?あぁ…そう……」
電話の向こうで、響さんが戸惑っているのが感じられた。
そりゃ、何か問題があったわけでもないのに、綾世が『寝ました』と報告されても困惑するか…。
「あのっ!」
綾世が一人で抱えている想い。
颯斗がそれを誰かに話すのは、ルール違反かもしれない。
でも、話を聞いて、颯斗の胸に収めているだけでは、何も解決しない。
……綾世の苦しい想いを、楽にしてやりたい。
「なんで誰も…綾世の外国行きを、止めてあげないんですか…?」
電話の向こうで息を飲む気配があった。
「……綾が止めて欲しいって。…そう、言ったの?」
「…いえ。でも、いつも誰も…綾世に、“どうして欲しいのか”言ってくれないって……。それが…、とても辛いみたいです……」
「そっか……。綾は、幹君には、そんなことまで話すのね……」
「……はい!」
そうだ!
綾世は颯斗だけに、自分の本心を聞かせてくれた。
だったら、それをなんとかしてやれるのは、やっぱり颯斗しか居ないのだ。
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