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純真メランコリー 61
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「何年か掛けて、説得していたみたいだけれど…結局、いつまでも結婚は許してもらえず……。ある日突然、二人は姿を消した。母は、たまにこっそり、巴さんと連絡取ってた…。だから、綾が生まれたことも、私達は知っていたわ」
赤ん坊の綾世って、どんなだろう…。
綾世の寝顔を見下ろす。
陶器の様に白く艶々の肌。
鼻筋の通った高い鼻。
長い睫。
透き通るようなべっこう色をした柔らかい癖毛。
きっと間違いなく、天使のように凄く可愛いかっただろう…。
「でもね…お祖父ちゃんは、綾の存在を知らなかった。巴さんが、事故にあって…綾が、亡骸と一緒に櫻木家に来た時が、初対面だった」
「………」
孫との初対面が、娘との再会だった……。
けど、娘は死に…。それが、孫との初対面のきっかけとなるなんて……。
……祖父さんにとって、颯斗が想像し難い程に、凄くショックだったはずだ。
「お祖父ちゃんは、自分が結婚を許さなかったことを悔やんでるの…。許していたら、巴さんが亡くなることは無かったかもしれないし…、綾が一人になってしまうことも、なかったかもしれない…。綾が櫻木家に来た時から、ずっと悔いているわ……」
…娘が死んだこと。…孫が、両親を失ったこと……。
それらが、自分のせいだと……祖父さんはずっと、今も後悔し続けているのか……?
「だから、綾のやりたいように、好きなように、させてあげたいの…。そうすることが、お祖父ちゃんの綾に対する償いだと、思ってるみたいでね……。それを知っているから、私達は、なかなか口出しができない………」
「………」
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