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純真メランコリー 68
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綾世が席を立ち、冷蔵庫の中から細かく刻んだ漬物を取り出した。
「なに?」
「トッピングしたら美味しいかも」
綾世は少量を自分のお皿に取り、炒飯に混ぜる。
洋風な顔してるくせに漬物とか……本当に面白いくらいに、綾世の中身は純日本人だ。
「うん、やっぱり合う。美味しい。颯斗も食べてみて」
綾世がスプーンに漬物入り炒飯をすくい、颯斗の口元へと手を伸ばした。
えっ!?
思わず固まる。
いつもだったら何も考えず、「あ~ん!」なんて大口を開けるところだ。
けど……。
けど…意識してしまった。
今朝の出来事…。
だって、これって"間接キス"より上だよな?!
「いやっ…お、俺もやってみる!」
言って、漬物をスプーンですくって炒飯に混ぜた。
「……そぅ…?」
綾世は一瞬目を瞬かせたけれど、そのまま差し出したスプーンを自分の口に運んだ。
さり気なく綾世から視線を逸らす。
一気に顔が熱を持った。
きっと真っ赤になっているのだけれど、部活の日焼けで常に色黒の颯斗の変化に、綾世は気が付いていない様だ。
「あのさ!響さんが、昼には祖父さん連れて帰るから家で待ってろって、昨日連絡あったから」
「え…響ちゃんから?」
「うん。綾世が寝た後に川那辺の携帯に掛かってきた…」
本当は颯斗の方から電話をして、ついでな感じで祖父さんの事を聞いたのだけれど、そのことは口が裂けても言えない。
「……そっか」
綾世は、昨日の夜のことには触れなかった。
だから、颯斗も何も言わない。
きっと、このまま何もなかったことにしてしまいたいだろうけど……。
けど…ごめんな、綾世………。
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