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純真メランコリー 77
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「"学校"じゃねぇよ!幹に話があるって、ここに来たんだよ!!」
「………はっ?」
ここに?!
「綾ちゃんからの伝言。『いつもの学生ホールで待ってるから、登校したら来て欲しい』って!」
呼び出し……。
以前の颯斗なら、大喜びで尾っぽを振り回す犬のような勢いで綾世の元へ駆け出しているだろう。
でも、気持ちも足も重くて……。
もし、綾世にあの冷ややかな瞳を向けられ、罵られでもしたら…情けないけど、立ち直る自信がない。
「……いや、行かない」
「なんで!? そんなの、ダメだからね!!」
律基が腕を取り、無理やり引っ張る。
「西嶋君!幹君の荷物頼んだからねっ!!」
階段へ向けて、廊下を引きずられる。
いつも非力な律基は、今日は颯斗が抵抗しても負けないくらい力強い。
階段の降り口まで引っ張られて来た所で、教室に荷物を置いて来た西嶋が戻って来た。
両脇をガッチリと固められ、逃げようがなくなってしまう。
結局、特別棟の学生ホールまで連行された。
入口から数メートルの所で解放される。
「綾ちゃん、幹君のことずっと待ってるよ。大丈夫だから、行っておいでっ!!」
律基が力強く背中を押した。
2,3歩前に踏み出したけれど、それ以上、颯斗の足は前に進まなかった。
「……もしも何かあっても、幹君には僕たちが居るでしょ!」
後ろから律基が言った。
「はぁ~あ…。もぅ迷惑被られるのは御免だから、幹の面倒見ないつもりだったけど…。しゃぁなしで、泣き言くらいは聞いてやるよっ!」
ため息混じりの西嶋の声も聞こえた。
あぁ…そうだ……。
今は………こいつらが居てくれる。
颯斗は大きく息を吸って、顔を上げた。
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