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純真メランコリー 84
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でも…約束した。
応援すると……。
綾世の味方で居ると約束したからには、引き留めちゃいけないんだ。
颯斗は大きく深呼吸すると、泣き顔になりそうな顔を、不自然にならないように必死に笑顔を作った。
「そっか…。行くって……決めたんだ………」
綾世の大きな瞳が颯斗にまっすぐ向けられている。
本当に行っちゃうんだ……。
「……電話とか…手紙とか……たまにでいいから…連絡くれな。……こっちに戻って来る時も、絶対教えて…よ」
「え…?」
言いながら、少しずつ顔を伏せる。
爽やかな笑顔で格好良く決めたいのに……上手く表情が作れなかった。
綾世の顔を見たいのに、自分のは見られたくなくて、顔を上げることができない。
さっきまで、関係が修復できたと喜んでいたのに…。
こんなことって………ありかよ?!
毎日、学園内で綾世の姿を探していた。
でも……もぅ、どこを探しても綾世は居なくなってしまう……。
追いかけて行きたくても、国外なんて…今の颯斗では、どうすることも出来ない…。
思い切って顔を上げると、綾世が顔をしかめている。
凄く解りやすい表情だけど、それがどういった感情の表れなのか颯斗には読めなかった。
ウザがられてる…?
颯斗の反応に引いてる…?!
でも…もぅ、この際そんなことはどうでもよくなってしまった。
颯斗は前へ踏み出すと、綾世を抱きしめた。
「颯斗…?!」
動揺が感じられる綾世の声。
でも、突き放されることはなかった。
「…俺、綾世が好きだ。離れてても…好きな気持ちは絶対変わらないから、忘れないで……」
本当に…知れば知るほど、どんどん好きになって……もぅ、好きな想いは止められない。
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