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純真メランコリー 85
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引き留めることは出来ないけれど、颯斗の想いをちゃんと知って貰いたかった。
ただ、伝えたかった…。
首筋に綾世の息が掛かる。
「……バカ」
綾世が耳元で、周りに聞こえない程の、小さな小さな声で呟いた。
その声音は、優しい。
けど……。
『バカ』って…それが綾世の返事…。
…………颯斗の想いは一方通行で終わる。
颯斗は、綾世を強く抱きしめていた腕の力を抜く。
躰を離す瞬間、俯いたままの颯斗の視界に、綾世の真っ赤な耳が映った。
……えっ?
思わず視線を上げると、綾世の顔も真っ赤。
「たっ、たかだか1、2週間行くってだけなのに、大げさなんだよ……」
「は…?えっ!?えぇぇええ!?!?」
1、2週間…?!
綾世は颯斗から視線を逸らす。
「初めから、そういう予定だった。律から聞いてなかったのか…?」
「へっ…? 川那辺!?」
颯斗の視線に、律基が困ったような表情を返す。
「ごっ…ごめん!だって、綾ちゃんから直接聞いた方が絶対いいと思って……」
……………まじかっ…!!
いつの間にか律基が元気を取り戻していたのは、あれはいつからだった……?!
「いやぁ~…ほんっとに、ごめんねぇ~」
律基は謝罪の言葉を口にするけれど、笑顔の表情は、ちっとも悪いとは思っていなさそうだ。
しかも律基どころか、西嶋までもがニヤケ顔で颯斗を見ている。
赤い顔をした綾世は、みんなに背を向けてしまっていた。
えっ…えぇぇぇえええ!!!
こっ…、これって……勝手に一人で勘違して盛り上がって、人目も憚らず…こっ、告白…とか………。
あまりの羞恥に、体温が急上昇で頭から湯気が出そうだ。
ハ……ハズい…しっ、死ねる……。
マークさんが綾世の前に回り込み、顔を覗き込んだ。
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