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純真メランコリー 89
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「ってか!一歩間違えると、完全に犯罪者だな」
「あはっ、ストーカーってやつね!」
「ひでぇ~…俺の純真な想いを……ストーカーって…そんな風に言われんのかよっ?!」
あぁ…なんか、すっげぇ凹むわ……。
「まぁ、いいじゃん!」
「よくない…」
「大丈夫!きっと綾ちゃんも満更でもないから。ちゃんと伝わってるって!!」
え……?
満更でもない……!?
あっ……!
自分の想いは何度も言葉にして伝えて来たけれど、綾世の颯斗に対する気持ちをはっきりとは聞いていない。
颯斗のことを『大切な人』と思ってくれている……。ってのも、勝手に思っただけで、直接言われたわけじゃない。
都合のいい思い込み……かもしれない。
そういや、道端の石ころ扱いだったしな……石ころって…人間扱いもされてないってことじゃんか……。
「はぁ~~…」
大きなため息が出た。
「あっ、やべ!本鈴鳴った」
朝のホームルーム開始のチャイムが響く。
「うわっ!走んなきゃ!!」
「幹、行くぞ!」
二人が颯斗を置き去りに走り出す。
無理やりここまで引きずって来たのはお前らなのに、さらに置き去りかっ!!
「くっそ!陸上部を舐めんな~!!」
ダッシュで後を追う。
そして、あっという間に追い付き、二人を抜き去る。
颯斗が頬を切る風の気持ち良さを感じたのは、ものすごく久々だった。
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